1973年に勃発したアラブ・イスラエル戦争(ヨム・キプル戦争、第四次中東戦争)では、エジプト軍とイスラエル軍の間で大規模な戦車戦が展開されました。両国はそれぞれ複数の戦車を投入しており、各車両には独自の特徴と性能がありました。
エジプト軍が使用した戦車
T-55
T-55は、エジプト軍が大量に運用した主力戦車です。ソ連製で、先行するT-54をベースに、より強力なエンジンや改良された火器管制システムなど、数多くの改善が加えられています。主砲は100mm砲を搭載し、同軸機銃として7.62mm機関銃を備えていました。当時としては比較的良好な装甲防御力を持ちましたが、最新鋭の対戦車ミサイルに対しては脆弱であるという弱点も抱えていました。
T-62
T-62は、より先進的なソ連製戦車で、1973年の戦争ではエジプト軍が少数を投入しました。T-55と比較して装甲防御力が強化され、より強力な115mm滑腔砲を搭載していた点が大きな特徴です。火器管制システムも改良されており、当時としては非常に手強い戦車と評価されていました。
イスラエル軍が使用した戦車
センチュリオン(Centurion)
センチュリオンはイギリス製の戦車で、1973年の戦争においてイスラエル機甲部隊の中核を担いました。全周にわたって優れた装甲防御力を持ち、105mm主砲で武装していました。信頼性の高さで知られ、シナイ砂漠の過酷な地形や気候条件にもよく適合した戦車でした。
M48パットン
M48パットンはアメリカ製の戦車で、イスラエル軍が1973年の戦争で使用しました。先行するM47パットンをベースに、より強力なエンジンや改良された火器管制システムなど、数々のアップグレードが施されています。主砲は90mm砲を搭載し、戦争中はセンチュリオンとともに運用されました。
M60パットン
M60パットンは、より近代的なアメリカ製戦車で、イスラエル軍が限られた数ながら1973年の戦争に投入しました。M48と比べて装甲防御力が向上し、強力な105mm主砲を搭載していたのが特徴です。戦争への参加は限定的で、主に戦争後半の段階で実戦に投入されました。
補足事項
なお、エジプト軍もT-62のようなより先進的なソ連製戦車を少数使用していた一方で、イスラエル軍は初期の進撃の際にエジプト軍が放棄したソ連製戦車や砲兵装備を鹵獲し、自軍で活用したことも特筆に値します。このように、両軍とも多様な戦車を組み合わせて運用し、中東史上最大級の機甲戦を繰り広げたのです。