アーサー(Arthur)は、伝説に彩られた名前です。中世において、クレティアン・ド・トロワが描いた円卓の騎士物語によって不朽の存在となりました。その起源はケルト語にさかのぼるとされ、「熊」を意味するといわれています。中世には広く普及した名前でしたが、ルネサンス期にいったん姿を消し、1980年代以降、再び定番の名前として人気を取り戻しています。名前の日は11月15日です。
アーサーという名前の起源と語源
アーサーという名前は、ブルトン語の古名「アルズール(Arzhur)」の現代フランス語形と考えられています。語源は必ずしも確定していませんが、ケルト語に由来する「アルズ(arzh、古ブルトン語ではarth)」という言葉、すなわち「熊」を意味する語から派生したとされています。ケルト人にとって熊は動物の王とみなされ、長きにわたって王権の象徴であり続けました。ラテン語化された形は「アルトリウス(Artorius)」であり、そこから「アルトゥス(Artus)」「アーサー」、さらに女性形の「アルトリーヌ(Arthurine)」といった様々な呼び名が生まれました。
円卓の騎士で名高いアーサー王のモデルとなったのは、5世紀にサクソン人の侵攻に対してブリテンのケルト人たちの抵抗を率いた、ブリトン・ローマ人の将校である可能性が指摘されています。
また、16世紀にイングランドのグラストンベリーの修道士を務めていた聖アーサーは、ヘンリー8世を教会の精神的指導者として認めることを頑なに拒み、王の命令によって処刑されました。
アーサーという名前の使用と人気の推移
アーサーという名前は、中世にブルターニュ地方の複数の王や公爵に受け継がれ、12世頃から一般に広く使われるようになりました。その後、19世紀のロマン主義者たちによって再発見され、文学作品など架空の登場人物の名としてもしばしば採用されました。20世紀半ば以降は一時的に下火となりますが、1980年代から再び注目されるようになり、現代風の変種である「アルトゥス(Artus)」もあわせて人気を集めています。
この名前は、芸術や文学の分野で多くの著名人によって親しまれてきたことでも知られています。詩人のアルチュール・ランボー、『シャーロック・ホームズ』シリーズの作者アーサー・コナン・ドイル、劇作家のアーサー・ミラー、イタリアの名指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ、作曲家のアルテュール・オネゲルなど、その代表格は枚挙にいとまがありません。
さらに詳しく知りたい方へ
- オメール・エングルベール著『2000のファーストネームとその歴史』、Albin Michel刊、2015年。
- 『名前の本――アーサー』、First社刊、2017年。