歴史物語

「恐怖」――目撃者が語る塹壕戦の地獄

フランス東部、ヴォージュ山脈近郊の前線の一区画。ドイツ軍の塹壕へ仕掛けた攻撃から、大隊の半数以上が戻らなかった。大隊長は報告書に彼らを「戦死」と記載した。すると大隊長も、その上官も、さらにそのまた上官までも、軍司令官による叙勲の推薦対象となったのである。

アンジェイ・リバがいなければ、ポーランドの歴史書市場はまったく違う姿になっていたことだろう。彼の尽力により、若き日のガブリエル・シュヴァリエが塹壕戦の地獄のど真ん中で体験した、唯一無二かつ恐ろしいまでに正直な記録『恐怖(La Peur)』が、ポーランドで初めて出版されたのだ。以下、リバが前線の実相を紹介する。

叙勲の推薦対象には、戦闘から戻れなかった兵士たちも含まれていた。要するに、誰もが満足していたのである。兵士たちは、大隊の損失が50%を超えたことで自動的に後方へ引き揚げられ、生き残った者の生存の見込みが高まったから。将校たちは、部下の兵が多く死ぬほど、「命を懸けて戦い散った勇敢な兵士たち」の功績として自分たちの勲章が増えたからだ。

ところが、全員が幸福なまま終わるはずだった話に、思わぬ邪魔が入る。ドイツ軍の飛行機が突然現れ、爆弾の代わりにビラを撒いたのである。

少しでも多く戻らぬように

ビラにはこう記されていた――「戦死したはずのあの兵士たちは、実は捕虜になっただけだった!」。叙勲申請は即座に撤回された。人的損失を出していない大隊は勲章に値せず、指揮官たちは「軍の士気の低さ」を理由に叱責を受けたからである。つまり勲章とは、指揮官が麾下部隊に可能な限りの損害を出させたことへの報酬だったのだ。

「恐怖」――目撃者が語る塹壕戦の地獄

従軍中のガブリエル・シュヴァリエ。

ゆえに指揮官たちにとって得策だったのは、生還者が最小限にとどまるような作戦をでっち上げることだった。「無人の地」と化した両軍の塹壕間に屍の山が積み重なり、その上にさらに新たな屍の層が積み上げられていったのも当然の帰結である。すべては指揮官たちの栄光のために!

まるでジョセフ・ヘラーの『キャッチ=22』の世界のような話だ。だが『キャッチ=22』は文学フィクションであり、これは現実に起きたことなのである。ガブリエル・シュヴァリエの本が世に出たのは、第一次世界大戦における兵士たちの勇壮な武勇伝を美談として語る出版物が何年も続いた後のこと。フランスのみならず広く読者に衝撃を与えた。誰かが、あえて「本当は何があったのか」を書いたのだ。

その誰かは大胆にも書いた――前線を支配していた感情は、兵士を圧倒する「恐怖」であったと。日々克服しなければならない恐怖。そして、機銃掃射の雨の中を塹壕から飛び出し、敵へ向かって走らねばならないとき、その恐怖に打ち勝ち、生き延びようとする自然な本能を殺すことこそが、何よりも雄大な勇気の証だったのだ。

作者は、自ら体験した出来事や、前線へ赴く途上で出会ったさまざまな兵士から聞いた逸話を、驚くべき数だけ綴っている。本の反戦メッセージはあまりに強烈で、第二次世界大戦開戦の直前には、フランス政府が出版社と作者に対し再刊を控えるよう求める事態にまで至った。ご存じの通り、1940年のフランス兵の士気は、そもそも高い水準ではなかったのだから。

「恐怖」――目撃者が語る塹壕戦の地獄

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精神の凱旋としての戦争

以下は、作者が病院で負傷兵の一人から聞いた話である。

さて、この愚かで情けない小僧どもめ、ためになることをいくらか教えてやろう。私がド・ポキュロット将軍ご本人から直接伺った話だ。将った話だ。将軍は私のすぐ隣にお立ちになって、議会からいらっしゃった紳士に事情をご説明くださった。それというのも、その紳士が今度は国民全体に、物事を正しい観点で見てもらえるようご説明なさるためだそうだ。

まず第一に、銃剣がある。ルベル小銃の先端に据え付けると、フランスの憤怒に突き動かされて突進する突撃兵のできあがりだ。正面には君たちのボスコ(ドイツ兵)がいる。さあ、どうなると思う? 必ずや奴らは逃げ出すか、降参するかだ。なぜ敵は陣地の前面に鉄条網を張り巡らせていると思う? 銃剣のためだ、とポキュロット将軍は仰る。

第二に、我らが古き良きフランスパンがある。フランスの英雄は塹壕の上に立ち、蔑むような口調で叫ぶのだ。「おいフリッツ、飯を食わんか?」そして必ず何が起きると思う? フリッツは小銃を放り出し、仲間に別れを告げ、足がもつれんばかりの勢いでパン目がけて駆けつける。なぜ敵は陣地前に鉄条網を張ると思う? 我らのパンのためだ。昼食休憩の間に、王位継承殿下をひとり取り残して、食い意地の張った連中が我先にとこちらへ押し寄せでもしたら大変だからな。この大食い軍団が一斉に口いっぱいに詰め込もうと駆けつけたら、収拾がつかなくなってしまう!「豚どもめは」とポキュロットはブルゴーニュ酒をすすりながら仰った。「道徳の背骨が欠けておる。いつでも好きなように片付けてやれる」

「恐怖」――目撃者が語る塹壕戦の地獄

シュヴァリエの本は、第一次世界大戦の暗黒面を余すところなく描き出している。

最後に、これも忘れてはならない大事な点だが、75ミリ砲がある。わずか数発で敵をペシャンコに叩き潰す。これほど正確で速い砲は存在しない。なぜ敵は「太っちょベルタ」など造ったと思う? 言わずもがな、我らの75ミリ砲への対抗措置だ。そして我らの75ミリ砲にかかれば、敵は常に粉砕される運命にある。私は今もポキュロット将軍の言葉が耳に残っている。

「民族はその武器の種類によって見分けられる。奴らが重砲を持つのは魂が重いからであり、我々が軽砲を持つのは魂が軽やかなからだ。精神は物質に勝る、閣下。そして戦争とは精神の凱旋です!」決して忘れてはいけないぞ、諸君。戦争とは精神の凱旋なのだ。

そして私はふと考えてしまう。ヘラーが『キャッチ=22』を執筆した際、ひょっとするとシュヴァリエの『恐怖』をお手本にしていたのではないだろうか?

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「恐怖」――目撃者が語る塹壕戦の地獄