
映画『クレオパトラ』でエリザベス・テイラーが演じたクレオパトラ。古代エジプトの女性たちは、タトゥーを幅広く活用していました。
太古から続くタトゥーの芸術
タトゥー(入れ墨)の芸術は非常に古く、世界中の多くの民族に見られる文化です。エジプトもその例外ではなく、古代エジプトにおいてタトゥーは人々の生活に深く根付いていました。
美しさへのこだわりとタトゥー
古代エジプトの女性たちは、自らの美しさに対して熱心かつ几帳面な手入れを行っていました。その美の追求の一環として、審美的に魅力的でありながら高い象徴的価値を併せ持つタトゥーが、身を飾る重要な手段として用いられていたのです。
油と煤を用いた施術技法
当時のタトゥーの施術方法は、皮膚の最も浅い層の下に特定の物質を注入するというものでした。特によく使われたのは油と煤(すす)で、これらの色素を使って望みの図柄を肌に描き出しました。
考古学的な裏付け
実際に、紀元前2000年頃のミイラとして知られるハトホル神殿の女祭司アムネトの遺体からは、複数のタトゥーの痕跡が確認されています。この発見により、タトゥーが古代エジプト社会で広く行われていたことが裏付けられています。
宗教的なモチーフと施術部位
最も人気のあった図柄は、宗教的な意味合いを持つものでした。中でも、女性性と深く結びつけられた女神ベス(Bes)は特別な存在でした。ベスは出産や家庭を守護する神として崇拝されており、タトゥーは妊娠中の女性や母となろうとする者を守る魔除けの役割も果たしていたと考えられています。
タトゥーを施す部位としては、下腹部、ちょうど鼠径部のすぐ上あたりが最も好まれました。これは子孫繁栄や出産の守護といった願いと結びついていたものとみられます。