19世紀の版画に描かれたニンジンの花。ニンジンはかつて紫色だった。
古代のニンジンは紫色だった
私たちが普段スーパーなどで目にするのは、鮮やかなオレンジ色のニンジンです。そのため少し不思議に思われるかもしれませんが、実は古代のニンジンは紫色だったのです。
この事実は、エジプト、ギリシャ、ローマの歴史的資料によって裏付けられています。当時の人々は、この貴重な野菜を料理の食材としてだけでなく、医療や薬学の分野においても幅広く活用していました。
さらに興味深いことに、これらの資料より後の記録にも黄色や白色のニンジンについての言及はあるものの、オレンジ色のニンジンに触れているものは一切存在しないのです。
なぜニンジンはオレンジ色になったのか
では、現在私たちが知っているような姿のニンジンは、どのようにして誕生したのでしょうか。
その劇的な変化の舞台となったのはオランダでした。18世紀から19世紀にかけて、オランダの生産者たちは大胆な交配実験と選抜作業を繰り返し、ついにニンジンの色と風味を根本的に変えることに成功したのです。こうして生まれた新しいニンジンは、それまでのものよりも一段と甘みが増していました。
オレンジ色が選ばれたのは偶然ではありません。スペインとの戦争でオランダを率いたオラニエ家(オレンジ王朝)に敬意を表するためだったと言われています。