
シャルルマーニュの肖像
皇帝の食卓を伝える秘書の記録
西暦800年に皇帝として戴冠し、後の神聖ローマ帝国の基礎を築いたシャルルマーニュ。その日常の食の好みについて貴重な情報を残しているのが、皇帝に仕えた秘書エギンハルトです。彼が著した『カール大帝業績録』には、政治や軍事のみならず、大帝の生活ぶりや嗜好に関する生き生きとした描写が数多く綴られています。
食欲旺盛で濃い味好きの王
記録によれば、シャルルマーニュは食欲旺盛な人物で、量をしっかり食べるだけでなく、料理の味付けにもかなりはっきりしたこだわりを持っていたといいます。
魚とチーズへの強い執着
とりわけ魚を愛した皇帝。中でも高級食材として珍重されたブルゴーニュ産のウナギには目がなく、さらにハーブで風味づけしたチーズもまた、彼が心から愛したご馳走でした。
肉はあっさり火を通して
肉料理もお気に入りのひとつでした。ただし好んだのは、軽く火を通したものか、あるいはローストに仕上げたものだったと伝えられています。
苦手だった食べ物
では、嫌いな食べ物はなかったのでしょうか。実はそれもありました。それは豆類。食卓がどれほど豊かに彩られていても、豆だけは口にしなかったといわれています。
エギンハルトの記述からは、8世紀末から9世紀にかけてのフランク王族の食文化の一端をも垣間見ることができます。大帝国を統べた皇帝の素顔が、こうした食の好みを通じて浮かび上がってくるのです。