
クラレットカップ(Claret Cup)は、19世紀イタリアを代表する美食家ペッレグリーノ・アルトゥージの名著『科学と台所、あるいは美味しく食べる術』(La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene)に収録された、レシピ第730番として知られるイギリス発祥の飲み物です。
アルトゥージ自身がこのドリンクを「心地よく、誰でも簡単に作れる」と評しており、家庭でも手軽に楽しめる一杯として紹介しています。
クラレットカップとは?
クラレットカップは、赤ワインをベースにレモンと砂糖のシロップを合わせた、爽やかな風味が特徴の伝統的なイギリスのドリンクです。夏には水で割って氷を浮かべれば、喉越し抜群のリフレッシュドリンクに早変わりします。
成功のカギは良質な赤ワイン選び
このレシピにおける唯一のこだわりポイントは、品質の優れた赤ワインを使用すること。アルトゥージはボルドー、キャンティ、サンジョヴェーゼなど、しっかりとした骨格を持つワインをおすすめしています。
材料(4〜6人分)
- 赤ワイン:5デシリットル(500ml)
- 水:5デシリットル(500ml)
- レモン:5個
- 白ザラ糖:500g
作り方(アルトゥージのレシピ原文より)
- 鍋に水と砂糖を入れ、5分間煮沸してシロップを作ります。
- 火から下ろし、温かいシロップにレモンの絞り汁を加え、さらにワインを注ぎます。
- 目の細かい布やガーゼで丁寧に濾します。
- 再び火にかけ、弱火で25分間ゆっくりと煮詰めます。
- 粗熱を取ってから瓶に詰めます。
提供方法と保存のコツ
飲む際は水で割り(ストレートアウト)、夏場は氷を入れて冷やして提供するのがおすすめです。長期間保存したい場合は、直射日光を避けた涼しい場所、理想的にはセラー(ワインセラー)で保管しましょう。
楽しむ際の注意点
クラレットカップは甘く飲みやすい反面、アルコール度数はかなり高めです。空腹時ではなく、必ず満腹の状態で味わうようにしてください。
アルトゥージの料理書とシロップの世界
実はクラレットカップ以外にも、アルトゥージの料理書にはシロップ類の作り方だけを集めた専用の章が設けられています。果物やハーブを活かした自家製シロップは、現代のカクテルやノンアルコールドリンクにも応用できる魅力的なレシピばかりです。
もちろん、アルトゥージの時代から現在までに栄養学の常識は大きく変化しました。糖分の量などは現代の感覚で調整する必要がありますが、基本の考え方に少し工夫を加えれば、これらの古典レシピの多くは今でも私たちの食卓で十分に楽しめるものです。ぜひ一度、19世紀の知恵が詰まったクラレットカップを試してみてください。