歴史物語

モリー・ピッチャーは実在した人物?アメリカ独立戦争の伝説と史実を解説

結論から言えば、モリー・ピッチャー(Molly Pitcher)のモデルとなった人物は実在したと考えられています。一般に、その正体はメアリー・ルートヴィヒ・ヘイズ・マコーリー(Mary Ludwig Hays McCauley)であるとされています。

モンマスの戦いでの活躍

1778年6月28日、ペンシルベニア出身のメアリーは、夫ウィリアム・ヘイズが所属する砲兵部隊に同行し、モンマスの戦い(Battle of Monmouth)に参加していました。彼女は炎天下の戦場で、水差しに入れた水を疲弊した兵士たちへ運び続けたと言われています。これが「ピッチャー(水差し)を運ぶモリー」、すなわち「モリー・ピッチャー」という呼び名の由来だと伝えられています。

夫に代わって大砲を撃った伝説

さらに有名なのが次の逸話です。戦闘中に夫が倒れると、メアリーは躊躇なくその場に立ち、夫が担当していた大砲の発射を引き継いだといわれています。この勇敢な行動は当時から語り継がれ、彼女はアメリカ独立戦争を象徴する女性英雄の一人となりました。

史実か伝説かをめぐる議論

ただし、モリー・ピッチャーに関する記録には後世の脚色が含まれている可能性があり、歴史学者の間では細部について議論があります。また、同様の活躍をした別の女性、たとえばフォート・ワシントンの戦いで大砲を操作したマーガレット・コービン(Margaret Corbin)の逸話が混ざっているという説もあります。

それでも、メアリー・ルートヴィヒ・ヘイズの存在自体は確かなものであり、1822年にはペンシルベニア州議会が彼女に年金を支給しています。モリー・ピッチャーの物語は、独立戦争に関わった無名の人々の勇気を今に伝える貴重な伝説として、今日も語り継がれています。