歴史物語

ローリングサンダー作戦とは?ベトナム戦争最大級の爆撃キャンペーンの全貌

ローリングサンダー作戦(Operation Rolling Thunder)は、ベトナム戦争中の1965年3月2日から1968年11月1日までの約3年8か月にわたり、アメリカ合衆国が北ベトナムに対して実施した大規模な航空爆撃キャンペーンです。

作戦の目的

この作戦は、北ベトナムの軍事施設や産業インフラへの段階的な攻撃を通じて、南ベトナムにおける共産主義勢力(越共)への支援を断念させることを目的としていました。アメリカは「漸進的圧力」と呼ばれる戦略を採用し、橋梁、鉄道、燃料貯蔵施設、飛行場、工場などを標的に、徐々に攻撃の強度を高めていきました。

歴史上類を見ない規模の空爆

作戦期間中、アメリカ空軍と海軍は延べ30万ソーティ(出撃回数)以上を遂行し、800万トンを超える爆弾を投下しました。これによりローリングサンダー作戦は、当時の歴史において最も長期かつ激烈な航空爆撃キャンペーンとなりました。

しかし、北ベトナム側も無防備ではありませんでした。ソ連や中国からの軍事援助により、地対空ミサイル(SAM)やMiG戦闘機などによる防空網が整備され、北ベトナム上空は世界でも最も防御の厚い空域の一つとなっていきました。また、米ソ対立の激化を懸念するアメリカ政府による目標選定の政治的制約も、作戦の効果を大きく左右することになりました。

なぜ作戦は失敗したのか

数年にわたる集中的な爆撃にもかかわらず、ローリングサンダー作戦は当初の目的を十分に達成できず、戦争の帰趨に影響を与えることは最終的にできませんでした。北ベトナムは爆撃を耐え抜き、ホーチミン・ルートを使った物資供給やゲリラ戦への支援を継続しました。

1968年11月1日、パリ和平交渉の開始に先立つ形で作戦は終了しました。ローリングサンダー作戦は、圧倒的な火力だけでは相手の意志を屈服させることは難しいという教訓を、後世の軍事戦略に残すこととなりました。