奴隷所有者の性格や資質は人によって大きく異なっていましたが、その多くに共通する特徴がいくつか存在していました。ここでは、歴史的な記録から見えてくる、奴隷所有者たちに典型的にみられた5つの傾向を紹介します。
1. 家父長主義(パターナリズム)
多くの奴隷所有者は、自分自身を家父長的な保護者として捉え、奴隷の世話をし、衣食住といった基本的な生活必需品を供給する責任があると考えていました。彼らは奴隷制こそが社会秩序を維持するために必要な制度であり、奴隷たちは自由民になるよりも、自分たちの管理下に置かれた方が恵まれていると信じていたのです。
2. 人種差別主義
ほぼすべての奴隷所有者が人種差別主義者であり、黒人は白人よりも劣った存在であり、その劣等性ゆえに奴隷制が正当化されるのだと考えていました。彼らは黒人を「怠惰で無知であり、白人の指導がなければ自らの生活を管理できない存在」であると見なしていました。
3. 暴力の使用
多くの奴隷所有者は、奴隷を支配・管理する手段として暴力を用いました。身体的な処罰は規律を維持し、奴隷が反抗したり逃亡したりしないようにするために必要不可欠だと信じていたのです。中にはサディスティックな性質を持ち、奴隷に苦痛を与えること自体を楽しんだ者もいれば、比較的控えめに暴力を使った者もいました。
4. 偽善
多くの奴隷所有者は熱心なキリスト教徒であることを自称し、「すべての人間は平等である」という理念を信じていると主張しながらも、同時に奴隷制という制度を正当化していました。彼らは「黒人は本当の意味での人間ではなく、したがって白人と同じ権利や特権を享受する資格はない」という歪んだ論理で、自らの矛盾を合理化していたのです。
5. 強欲
多くの奴隷所有者の行動原理となっていたのは、何よりも強欲さでした。彼らは奴隷を、自分の経済的利益のために搾取できる貴重な「資産」として見なしていました。そのため、奴隷を過酷な労働で酷使し、死に至らしめることも珍しくなく、十分な食料、衣類、住居すら提供しないケースが少なくありませんでした。
まとめ
このように、奴隷所有者たちは「保護者」という建前を掲げながら、実際には人種差別的な思想、暴力、そして経済的欲望によって奴隷を支配していました。彼らの言動における矛盾と偽善は、奴隷制という制度の非人道性を浮き彫りにするものといえるでしょう。