イングランド王エドワード5世が歴史上確実に目撃された最後の日付は、1483年6月13日です。この日、エドワード5世と弟のヨーク公リチャードは、エルサム宮殿からロンドン塔へと移されました。これ以降、二人の王子が公の場に姿を見せることは二度とありませんでした。
12歳で即位した少年王
エドワード5世は1470年11月2日に生まれました。父エドワード4世が1483年4月9日に急逝したとき、彼はわずか12歳の少年でした。母方の親族ウッドヴィル家と、叔父にあたるグロスター公リチャード(後のリチャード3世)との間で権力闘争が勃発し、少年王はその渦中に置かれることになります。
戴冠式を待つままロンドン塔へ
エドワード5世は戴冠式の準備のためロンドン塔に入りました。しかし戴冠式はついに実現せず、弟のリチャードも母エリザベス・ウッドヴィルのもとから引き離され、エルサム宮殿から兄のもとへ送られます。1483年6月13日、兄弟がロンドン塔で再会したこの日こそが、歴史に残る最後の目撃記録となったのです。
「塔の中の王子たち」の行方
その年の夏、二人の王子は塔の外へ出ることなく姿を消しました。叔父リチャードは議会に対し、エドワード4世とエリザベスの結婚が無効であるとする請願を提出。これにより兄弟は庶出と認定されて王位継承権を失い、リチャード自身がリチャード3世として即位しました。
王子たちがその後どうなったのかは、550年以上が経過した今も謎のままです。1674年にはロンドン塔の階段下から子供のものとみられる遺骨が発見され、王子たちのものではないかと考えられていますが、決定的な証拠は得られていません。
「塔の中の王子たち(The Princes in the Tower)」として知られるこの事件は、イギリス史上最大級の未解決ミステリーであり、今日なお多くの歴史家や研究者の関心を集め続けています。