アフリカの歴史

ロバート・E・リーの「テントを撤収せよ」とは何を意味する言葉か?その真相を解説

「ストライク・ザット・テント(strike that tent)」は、直訳すると「そのテントを叩け」となるが、ここでの「strike」は「打つ」という意味ではない。これは軍隊用語で、「テントを撤収する・解体する」ことを指す。つまりこの言葉は、「野営を終えて移動の準備をせよ」という命令を表している。

リーの「遺言」として語られてきた言葉

アメリカ南北戦争で南軍総司令官を務めたロバート・エドワード・リー(Robert Edward Lee、1807年〜1870年)は、晩年ワシントン・カレッジ(現ワシントン&リー大学)の学長を務めていた。1870年10月12日に亡くなる際、「Strike the tent(テントを撤収せよ)」という言葉を残したとされ、人生の終わりを野営の撤収になぞらえた印象的な「遺言」として広く知られるようになった。

しかし、リーは実際には発言していない

ところが、歴史資料を検証すると、リーがこの言葉を口にした確かな記録は存在しない。この言葉はしばしばリーのものとされるが、それは誤った帰属(ミスアトリビューション)であり、実際の出典や発言の由来は明らかになっていない。死の床での逸話として後世に広まった可能性が高い。

なぜ誤って伝わったのか

著名人の臨終の言葉は、感動的な物語として語り継がれやすい。リーのように人望の厚い人物の場合、その人格や生涯を象徴するような「最期の言葉」が求められ、事実確認が不十分なまま逸話が定着してしまったと考えられる。歴史上の「名言」とされる言葉の多くが、同様に出典が曖昧なまま流布している例がある。

まとめ

「strike that tent」自体は「テントを撤収せよ」という軍隊用語であり、比喩的に「人生の幕引き」を意味すると解釈されてきた。しかし、これをロバート・E・リーの言葉とするのは誤りであり、真の出所は不明である。引用する際には、その出自に注意が必要だろう。