アフリカの歴史

すべてのピラミッドはギザとナイルデルタの近くに建てられたのか?その通説を検証

「すべてのピラミッドがギザとナイルデルタの近くに建設された」という前提は、歴史的事実としては正しくありません。実際には、ピラミッドはエジプト全土のさまざまな場所に点在しています。

ギザ以外にも存在する主要なピラミッド群

ギザの三大ピラミッドがあまりにも有名ですが、古代エジプトでは約1000年もの間、歴代の王たちがそれぞれの時代に応じて異なる土地にピラミッドを築きました。主な所在地は以下の通りです。

  • サッカラ(Saqqara):最古の階段ピラミッド(ジェセル王のピラミッド)が立つ、ピラミッド建築の発祥地ともいえる重要な遺跡。
  • ダハシュール(Dahshur):屈折ピラミッドと赤いピラミッドで知られ、「真のピラミッド」の形態へ至る過渡期を今に伝える貴重な遺構。
  • アブシール(Abusir):第5王朝の王たちによって建設された、太陽信仰と深い関わりを持つピラミッド群。
  • メイドゥーム(Meidum):スネフェル王の時代に造られた、独特な崩壊した外観で知られるピラミッド。

なぜピラミッドはナイル川沿いに広く分布しているのか

ピラミッドが一箇所に集中せず、ナイル川流域全体に展開している背景には、実用的かつ宗教的な理由があります。

  • 資材運搬の利便性:巨大な石材や労働者のための食料を船で運搬できるよう、建設地はナイル川の近くに選ばれました。
  • 古都メンフィスとの関係:初期王朝の首都メンフィス周辺が、長きにわたり王墓造営の中心地でした。
  • 宗教上の配置:多くのピラミッドは夕日が沈むナイル川西岸に建てられ、死後の世界への旅路と結び付けられていました。

このように、ピラミッドの立地は「ギザとナイルデルタ近く」という単一の場所に限定されるものではなく、各王朝の政治・宗教・技術的な事情に応じて、ナイル川沿いの各地へと展開していったのです。