アフリカの歴史

なぜエジプト人はミイラ作りをやめたのか?その理由を解説

ミイラ作りが廃れた主な理由

古代エジプトで盛んに行われていたミイラ作りは、遺体を保存し来世での再生を願う重要な宗教的儀式でした。しかし、この千年以上にわたって続けられてきた習慣は、やがて歴史の中から姿を消していきます。その背景には、経済的要因と宗教的変化という二つの大きな要因がありました。

1. 経済的な負担の増大

ミイラ作りは、ナトロン(天然塩)による脱水処理、香料や樹脂の塗布、亜麻布での丁寧な包帯巻きなど、高度な技術と膨大な時間を必要とする工程でした。遺体の処理から埋葬まで完了するには最大70日間ほどかかることもあり、その費用は非常に高額でした。

エジプトの経済が衰退していくにつれ、こうした費用を賄える家庭は限られるようになり、ミイラ作りは次第に王族や富裕層だけの特権的なものへと変わっていきました。最終的には、多くの人々にとって手の届かない習慣となり、自然と廃れていったのです。

2. キリスト教の普及と信仰の変化

紀元後1世紀以降、ローマ帝国の支配下にあったエジプトにキリスト教が広まり始めると、人々の死生観は大きく変化しました。

キリスト教では、肉体の保存よりも魂の救済こそが重要であるとされ、来世に対する考え方も、従来のエジプト的な信仰とは根本的に異なるものでした。これにより、ミイラ作りの根拠となっていた来世信仰が急速に薄れ、4世紀頃にはミイラ作りの習慣はほぼ姿を消したとされています。

まとめ

ミイラ作りの終焉は、経済の衰退によるコスト面の問題と、キリスト教の普及による宗教観の変化が重なった結果といえます。古代エジプト文明の象徴ともいえるミイラ作りは、社会構造と人々の信仰が変わるにつれ、その役割を終えて歴史の幕を下ろしたのです。