アフリカの歴史

ユダヤ人が暮らすアラブ諸国はどこ?各国の現状と歴史を解説

はじめに

中東のアラブ諸国には、2000年以上の歴史を持つユダヤ人コミュニティが存在してきました。彼らは「ミズラヒム」と呼ばれることもあり、イスラム圏で独自の文化を育んできました。しかし、1948年のイスラエル建国以降、多くの国でユダヤ人人口は激減し、現在ではごく少数のコミュニティが残るのみとなっています。

この記事では、ユダヤ人が現在も暮らしている、あるいはかつて大規模なコミュニティを抱えていたアラブ諸国について、その現状と歴史を解説します。

ユダヤ人が暮らす主なアラブ諸国

現在もユダヤ人コミュニティが存在する、または近年まで存在していた主なアラブ諸国は以下の通りです。

  • モロッコ
  • チュニジア
  • エジプト
  • レバノン
  • アラブ首長国連邦(UAE)
  • バーレーン
  • イラク・シリア・リビア・イエメンなど(かつては大規模だったが、現在はほぼ消滅)

モロッコ

モロッコはアラブ諸国の中で最大規模のユダヤ人コミュニティを擁する国です。歴史的にユダヤ人人口は数十万人に達しましたが、現在は約2,000〜3,000人程度とされています。カサブランカなどを中心にシナゴーグやユダヤ人学校が今も機能しており、政府もユダヤ文化の保護に積極的です。

チュニジア

チュニジアには、ジェルバ島を中心に約1,000〜1,500人のユダヤ人が暮らしています。ジェルバ島の「エル・グリバ・シナゴーグ」は北アフリカ最古級のシナゴーグとして知られ、毎年多くの巡礼者が訪れます。

エジプト

かつてカイロやアレクサンドリアには数万人規模の活発なユダヤ人社会がありましたが、現在は高齢者を中心に100人未満まで減少しました。それでも、歴史的なシナゴーグの修復事業が進められています。

湾岸諸国(UAE・バーレーン)

2020年の「アブラハム合意」以降、UAEやバーレーンではユダヤ人コミュニティへの注目が高まっています。UAEには数百人規模のユダヤ人が居住し、ドバイでは正式なラビが任命されるなど新たな動きが見られます。バーレーンには小規模ながら歴史あるユダヤ人コミュニティが存在します。

ほぼ消滅したコミュニティ(イラク・シリア・リビア・イエメンなど)

バグダッドはかつて10万人以上のユダヤ人が暮らす中東有数のユダヤ人都市でしたが、現在残っているのはごくわずかです。同様に、シリア、リビア、イエメンのコミュニティも、20世紀後半の対立や迫害、移住によってほぼ姿を消しました。

イランについての補足

よく混同されますが、イランはアラブ諸国ではなくペルシャ系の国家です。ただし、中東におけるユダヤ人コミュニティという文脈では重要な国であり、イスラエル以外の中東では最大級となる約9,000人前後のユダヤ人がテヘランなどを中心に暮らしているとされています。

各国で異なるユダヤ人の地位

ユダヤ人の法的地位や社会的待遇は国によって大きく異なります。モロッコやUAEのように比較的寛容な環境で暮らせる国もある一方、一部の国では差別や迫害の歴史があり、国外への移住を余儀なくされた人々も少なくありません。

まとめ

アラブ諸国のユダヤ人コミュニティは、かつては文化・経済の両面で重要な役割を果たしてきました。現在ではその多くが縮小したものの、モロッコやチュニジア、湾岸諸国などでは今なおユダヤ人が地域社会の一員として暮らし、医師、弁護士、教師、実業家などさまざまな分野で貢献を続けています。