結論:「一斉検挙のための利用」は神話とされる
いいえ。FBIが国勢調査のデータを直接利用して日系アメリカ人を一人ひとり特定し、一斉検挙を行ったという主張は、そのままの形では事実とはみなされていません。この説は1970年代以降繰り返し語られてきたものですが、実際の歴史はもう少し複雑です。
国勢調査データは実際にどのように使われたのか
第二次世界大戦中、米国政府が日系アメリカ人の強制収容(強制立ち退き)を実施した際、1940年の国勢調査のデータが活用されたこと自体は歴史的事実です。ただしそれは、個人情報をそのまま引き渡して特定の個人を逮捕するためではなく、統計的な集計データを通じて、日系人が多く居住する地域の人口分布を把握し、地図上に可視化するために用いられたものでした。
つまり、当局は国勢調査の集計結果を参考にすることで、どの地域にどれほどの日系コミュニティが存在するかを効率的に把握でき、強制収容の計画や実施を進めやすくなったのです。
「神話」とされる部分との違い
一方で、「FBIが調査データをもとに日系人家を一軒ずつ訪ね、名簿順に連行した」といった劇的な描写は、後年に広まった誇張ないし神話とされています。統計データの提供と、個人レベルでの摘発行動は区別して理解する必要があります。
まとめ
国勢調査データが戦時下の日系人強制収容の一助となったことは事実であり、公共の統計情報がどのように国家政策に転用されうるかを示す重要な歴史教訓となっています。しかし「FBIによる一斉検挙への直接利用」という単純化された物語は、正確な歴史認識としては避けるべきでしょう。