かぎ十字(ハーケンクロイツ)は、古代から世界各地のさまざまな文化で使用されてきた歴史ある象徴です。インドではヒンドゥー教や仏教において吉兆を表す印として親しまれ、ヨーロッパやアジアの遺跡にも同様の意匠が見られます。しかし第二次世界大戦期には、この象徴はナチ党(国家社会主義ドイツ労働者党)に採用され、同党を代表する主要なシンボルとなりました。
ナチ党が採用したハーケンクロイツ
ナチスが使用したかぎ十字は、伝統的な意匠を変形させたもので、腕が時計回り方向に45度の角度で傾けて配置されているのが特徴です。1920年、アドルフ・ヒトラーはこのデザインを党の紋章として採用し、以後、ナチズムの思想を視覚的に体現する象徴として定着していきました。
ナチスにとってハーケンクロイツは、自らの民族主義的・反ユダヤ主義的なイデオロギーを表す標章でした。このマークはナチスの旗や軍服、政権下の各種記章に大きく掲げられ、1935年から1945年にかけては、ハーケンクロイツをあしらった旗がドイツの国旗としても使用されました。
現代におけるハーケンクロイツの意味
ホロコーストをはじめとするナチスの残虐行為により、ハーケンクロイツは「憎悪」の象徴として強く結びつけられるようになりました。今日、この象徴を掲示する行為は、反ユダヤ主義や白人至上主義への支持を示すものと受け取られるのが一般的です。
こうした歴史的経緯を踏まえ、ドイツでは法律によりハーケンクロイツなどナチスの象徴の使用・展示が禁止されています。教育目的や芸術作品など限られたケースを除き、公の場での掲示は認められず、同様の規制は欧州各国にも広がっています。