北米の歴史

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践

アフリカ系アメリカ人民権運動とは

1955年から1968年にかけてアメリカ合衆国で展開されたアフリカ系アメリカ人民権運動(公民権運動)は、黒人への差別と人種隔離を終わらせることを目指した社会運動です。大規模な抵抗キャンペーンや市民的不服従、ボイコットなど、非暴力的な活動が大きな特徴でした。

この時期には、職場・学校・あらゆる公共の場における「人種、肌の色、宗教、出身国」に基づく差別を禁じる公民権法(1964年)が成立し、さらに翌1965年には投票権法が制定され、黒人が選挙権を行使できる法的な土台が築かれました。

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践

1964年、公民権法の署名式でのリンドン・ジョンソン大統領とマーティン・ルーサー・キング牧師

法の成立後も残っていた「壁」

しかし、こうした歴史的な立法の達成をもってしても、日常生活の中で人種統合が完全に実現するまでには、まだ長い道のりがありました。とりわけ南部では、学校の人種統合に強く反対する白人たちによる嫌がらせや挑発が後を絶たず、黒人の生徒や活動家たちは過酷な環境にさらされていました。

挑発に乗らないための「訓練学校」

公民権運動の基本方針はあくまで「非暴力」でした。そこで運動側は、統合に反対する白人からの挑発――罵倒、侮辱、暴力の脅し――に決して屈しないよう、黒人活動家や生徒のための特別な訓練を行う仕組みをつくり上げました。

訓練では、実際に罵声を浴びせられたり、つかみかかられたりする状況を想定したロールプレイが行われ、怒りを抑えて暴力で応じない心構えを徹底的に磨きました。ランチカウンターでの座り込み(シットイン)や通学・移動の際の振る舞いなど、場面ごとの対応も繰り返し練習されたといわれています。こうした訓練を積んだ活動家たちは、理不尽な仕打ちを受けても冷静さを失わず、非暴力という運動の道義的な高さを世界に示す力となったのです。

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践

挑発に乗らないための訓練学校――1960年代アメリカ公民権運動と非暴力の実践