北米の歴史

ゲイ・プライドへの招待状に対し、ロサンゼルス警察署長が返した「問題の手紙」(1975年)

1975年、LA PRIDEから届いた招待状

1975年5月、当時カリフォルニア州ロサンゼルス市警察の署長を務めていたエドワード・デイヴィス(Edward Davis)のもとに、一通の招待状が届きました。宛先となったのは、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)コミュニティの恒例の祝祭「LA PRIDE」のパレードです。このイベントは、ストーンウォールの反乱を記念して1970年に第1回が開催された、全米でも歴史あるプライド行事でした。

しかし、署長から返ってきた返信は、招待側の予想をはるかに超える内容のものでした。

デイヴィス署長が送り返した手紙の全文

ロサンゼルス警察本部
1975年5月23日

シャロン・D・コーネリソン夫人
クリストファー・ストリート・ウエスト協会 会長
PO Box 3949
ハリウッド、カリフォルニア州 90028

コーネリソン夫人 拝

ご承知のこととは存じますが、「ゲイ・プライド・ウィーク」祝賀行事への参加のお誘いは謹んでお断り申し上げます。同性愛をめぐる問題について、貴団体が憲法上保障された表現の自由を行使すること自体には同意しますが、この件に関する貴女の見解に私が賛同するわけでは決してありません。私が心待ちにしているのは「ゲイ・転向ウィーク」です。本国の医療専門家たちが、同性愛者を異性愛者へと転換させる方法を見出した暁には、喜んでその祝賀を支持する所存です。

敬具
E.M. デイヴィス
警察署長

ゲイ・プライドへの招待状に対し、ロサンゼルス警察署長が返した「問題の手紙」(1975年)

この手紙が物語るもの

この手紙は、半世紀前のアメリカ社会におけるLGBTコミュニティへの偏見が、公的機関のトップの言葉として堂々と綴られていたことを示す、痛ましい歴史資料の一つです。当時、警察による同性愛者の取り締まりや差別は珍しくなく、プライド・パレード自体が「生きる権利」を主張する抗議の意味合いを強く持っていました。

一方で、こうした文書が現代に残されていることには意義があります。差別の実態を記録し、社会がどれほど変化してきたか、そして何がまだ変わっていないのかを私たちに問いかける鏡となるからです。現在ではLA PRIDEは数十万人規模の来場者を集める大規模な行事へと成長し、多くの行政機関や警察自身もパレードへの参加を続けています。

出典:Letters of Note