北米の歴史

なぜ英語でトウモロコシは「コーン」と呼ばれるのか?その語源と地域ごとの意味の違い

英語「corn」の意外な語源

英語の「corn(コーン)」という言葉は、古ゲルマン語の「korn」に由来しています。この言葉はもともと、食用となる穀物や種子全般を指す非常に幅広い概念のものでした。

実は、イングランドにおいて「corn」は特定の作物を指す言葉ではなく、小麦、大麦、オーツ麦、ライ麦など、あらゆる穀物作物に対して使われていたのです。ところが、この言葉が北アメリカ大陸へ渡ると、次第にトウモロコシ(メイズ)を指す言葉として定着していきました。これが、今日私たちが「コーン」と聞いて思い浮かべる黄色い粒の野菜につながっています。

国や地域によって変わる「corn」の意味

興味深いのは、「corn」というひとつの言葉が、世界の地域によってまったく異なる作物を指している点です。

アメリカ・カナダの場合

アメリカ合衆国とカナダでは、「corn」はほぼ例外なくトウモロコシを意味します。「Indian corn(インディアン・コーン)」という別名でも知られており、日常会話で「corn」と言えばトウモロコシを指すのが一般的です。

イギリス・アイルランド・オーストラリアの場合

一方、イギリス、アイルランド、オーストラリアなどの英語圏では、「corn」は伝統的に小麦を指すことが多いのです。これらの国々では、トウモロコシは「maize(メイズ)」や「sweetcorn(スイートコーン)」と呼び分けられています。

ヨーロッパ大陸の場合

ヨーロッパ大陸では、「corn」はパンの原料となる穀物全般を広く指す言葉として使われる傾向があります。トウモロコシについては「maize」という表現が主流で、南アフリカなど一部の地域では「mealies(ミーリーズ)」という呼び名も見られます。

日本語の「コーン」について

日本語で「コーン」と言えば、スイートコーン(甘みのある食用トウモロコシ)を連想する人がほとんどでしょう。つまり日本に入ってきたのは、主にアメリカ英語の用法だと言えます。ひとつの言葉の意味が海を越えるうちに変化していく過程には、それぞれの土地の食文化や主要作物が深く関わっているのです。