北米の歴史

米国の1,000ドル紙幣は最後にいつ発行された?歴史と1969年の廃止経緯を解説

「アメリカで1,000ドル紙幣は発行されたことがない」という説明を目にすることがありますが、これは誤りです。実際には、アメリカでは過去に1,000ドル紙幣が正式に印刷・発行されていました。ただし現在では新規発行されておらず、一般の人が日常的に目にすることはほとんどありません。

1,000ドル紙幣の歴史

アメリカの1,000ドル紙幣として最も知られているのは、1934年および1934年Aシリーズの連邦準備券(Federal Reserve Note)です。この紙幣には、第22代・第24代大統領グローバー・クリーブランドの肖像画が描かれています。

さらに時代を遡ると、1890年には国庫券(Treasury Note)としての1,000ドル紙幣も発行されており、南北戦争で活躍したジョージ・ミード将軍の肖像が用いられていました。当時は銀行間の大口決済などで、こうした高額紙幣が実際に利用されていたのです。

なぜ廃止されたのか

1,000ドル紙幣を含む高額紙幣(500ドル、5,000ドル、10,000ドル)は、1969年7月にニクソン政権の決定により正式に発行が打ち切られました。連邦準備制度理事会は同年7月22日付で、各金融機関に対し、これらの紙幣を回収して財務省へ返納するよう指示しています。

その背景には、小切手や電子送金の普及による大口現金需要の減少に加え、高額紙幣がマネーロンダリングなどの犯罪に悪用されるリスクへの懸念がありました。

現在でも使えるのか

興味深いことに、これらの高額紙幣は今日でも法定通貨として有効です。ただし、すでに回収が進み新規発行されていないため、市場に出回るものはほぼコレクターズアイテムとなっており、保存状態によっては額面を大きく上回る価格で取引されています。

最高額面の10万ドル紙幣とは

アメリカ史上で最も高額な紙幣は、ウッドロウ・ウィルソン元大統領の肖像が描かれた10万ドル金貨証書(Gold Certificate)です。これは1934年12月から1935年1月にかけてごく短期間だけ印刷されたもので、一般流通用ではなく、連邦準備銀行同士の資金移動にのみ使用されました。つまり、市民の手に渡ったことは一度もない特別な紙幣です。

なお、一般向けに発行された紙幣としては、サモン・P・チェースの肖像が描かれた10,000ドル紙幣が最高額面となります。

まとめ

アメリカの1,000ドル紙幣は確かに存在し、最後のシリーズは1934年頃に印刷されましたが、1969年に発行が停止されました。現在では入手困難な収集品となっています。「発行されたことがない」という情報は誤りである点、そして10万ドル紙幣は銀行間取引専用だったという点を押さえておくとよいでしょう。