ウィリアム・T・シャーマン将軍とは
ウィリアム・テカムセ・シャーマン将軍は、アメリカ南北戦争(1861年〜1865年)において北軍(ユニオン軍)を率いた名将の一人です。彼が最もよく知られているのは「海への進軍(マーチ・トゥ・ザ・シー)」と呼ばれる作戦で、この戦役によってジョージア州やサウスカロライナ州のインフラの多くが破壊されました。シャーマンの戦術は当時から賛否両論を巻き起こしましたが、戦争の早期終結に大きく貢献したと評価されています。
「トータル・ウォー(無差別戦争)」とは何か
トータル・ウォーとは、攻撃対象に一切の制限を設けない戦争形態を指します。つまり、軍事目標だけでなく、民間人や民間施設までもが攻撃対象となり得ます。広範囲にわたる壊滅的な被害をもたらすため、一般的には最後の手段とみなされる戦争のあり方です。
南北戦争におけるシャーマンとトータル・ウォー
シャーマンの「海への進軍」は、まさにトータル・ウォーの典型例でした。シャーマン率いる部隊は、鉄道、橋梁、工場といった民間インフラを積極的に標的とし、南軍への物資供給網を断ち切ろうとしました。さらに、部下の兵士たちによる略奪や焼き払いを黙認・奨励したことでも知られています。
その戦術には大きな批判が集中しましたが、軍事的には極めて効果的でした。「海への進軍」は戦争終結を加速させただけでなく、南部社会に長期にわたる影響を残しました。シャーマン軍による徹底的な破壊は、戦後の南部復興を著しく困難にしたのです。
なお、こうした無差別戦争の手法は南北戦争特有のものではありません。第一次世界大戦や第二次世界大戦など、後の大規模な紛争においても同様の戦争形態が採用されました。しかし、歴史上最も有名なトータル・ウォーの事例の一つとして、今日まで語り継がれているのがシャーマンの「海への進軍」なのです。