第一次世界大戦におけるアメリカ参戦の背景
1917年に第一次世界大戦へ参戦したアメリカの動機は、単一の要因ではなく、複数の目的が複雑に絡み合ったものでした。ここでは、アメリカが戦った主な理由を6つに分けて解説します。
1. 海洋の自由(航行の自由)の擁護
ドイツの無制限潜水艦作戦により、公海における自由な航行が深刻な脅威にさらされていました。海洋の自由はアメリカの通商にとって死活的に重要であり、これを守り抜くことが参戦の根幹的な理由の一つでした。
2. 世界を「民主主義にとって安全な場所」にする
ウィルソン大統領は「世界を民主主義にとって安全にする(make the world safe for democracy)」という有名なスローガンを掲げ、この戦争を民主主義対専制主義の闘いとして国民に訴えかけました。
3. 経済的利益と投資・貿易の保護
アメリカは開戦以来、連合国側、特にイギリスとフランスに多額の融資を行ってきました。ヨーロッパにおけるアメリカの投資や貿易が戦争の帰結によって大きく損なわれるリスクがあり、経済的利益の保護も重要な動機でした。
4. 国際法の維持と大規模紛争の再発防止
国際法を遵守・保護し、将来における大規模な紛争の再発を防ぎたいという理念も、参戦を支える考え方でした。この思想は、戦後にウィルソンが提唱する国際連盟構想へとつながっていきます。
5. ウィルソンの進歩主義的 agenda と専制政治への反発
ウッドロウ・ウィルソン大統領の進歩主義的な政策路線の延長として、また彼が一貫して抱いていた専制政治(オートクラシー)全般への強い嫌悪感から、戦争への関与が正当化されました。
6. ドイツの潜水艦攻撃への対応
参戦を決定づけた最も直接的な要因は、ドイツの潜水艦(Uボート)によるアメリカ商船への攻撃でした。とりわけ1915年の豪華客船ルシタニア号撃沈事件では128名のアメリカ人が犠牲となり、アメリカ国内の世論は一気に硬化しました。その後も無差別潜水艦攻撃が続いたことが、1917年の対独宣戦布告への直接の引き金となりました。