アメリカで初めてペニー、すなわち1セント硬貨が製造されたのは1793年です。この年は、フィラデルフィアにアメリカ合衆国造幣局(United States Mint)が設立された年でもあり、合衆国独自の貨幣発行が本格的に始まった歴史的な節目となりました。
「チェーン・セント」と呼ばれた最初のペニー
初期のペニーは銅で鋳造され、裏面に鎖をモチーフとしたデザインが施されていたことから、「チェーン・セント(Chain Cent)」と呼ばれています。表面には流れるような髪をたたえた自由の女神像が描かれ、裏面には当時の州の結束を象徴する鎖の意匠があしらわれました。この鎖は、独立当初の諸州が一つに結びついていることを表すデザインだったとされています。
1792年の貨幣法との関係
この1セント硬貨は、1792年に制定された貨幣法(Coinage Act of 1792)によって認可された最初の貨幣シリーズの一部として発行されました。同法は合衆国の通貨制度の基礎を定めた重要な法律であり、ドルやセントといった現在の通貨単位の枠組みもここで確立されました。
その後の変遷
チェーン・セントは、鎖のデザインが「束縛」を連想させるとして批判を受けたこともあり、同じ1793年中に月桂樹の冠をあしらった「リース・セント」へとデザイン変更されました。さらに翌年以降は自由の帽子を描いた「リバティ・キャップ・セント」などへと続き、今日まで1セント硬貨のデザインは時代とともに変遷を重ねています。
こうした背景から、1793年製の初期ペニーは発行枚数がごくわずかで、現存するものも少ないことから、コレクターズ市場では非常に高い価値を持つ希少な硬貨として知られています。