北米の歴史

アメリカの10万ドル紙幣は何枚印刷された?知られざる最高額紙幣の歴史

10万ドル紙幣は実際に存在していた

アメリカ合衆国では、1934年に10万ドル紙幣が実際に印刷されています。その総数は42,000枚です。この紙幣には第28代大統領ウッドロウ・ウィルソンの肖像が描かれ、「金証書(ゴールド・サーティフィケート)」として発行されました。

一般流通しなかった政府専用の紙幣

ただし、10万ドル紙幣が一般の人々の手に渡ることはありませんでした。この紙幣は、連邦準備銀行間の大規模な資金決済にのみ使用されることを目的とした、政府および金融当局専用の紙幣だったのです。金本位制の時代において、多額の金を物理的に移動させる代わりに紙幣で決済する仕組みとして活用されました。

一般流通用の最高額は1万ドル札

市民の間で実際に流通したアメリカ紙幣としては、1万ドル札が最高額でした。この紙幣には元財務長官サーモン・P・チェースの肖像が描かれています。ほかにも500ドル札、1,000ドル札、5,000ドル札といった高額紙幣が発行されていました。

1969年に高額紙幣は姿を消す

これらの高額紙幣は、1969年7月にリチャード・ニクソン政権下で流通が停止されました。背景には、銀行間送金の電子化が進んだことや、資金洗浄などの犯罪への悪用を防ぐ狙いがありました。現在でもこれらの紙幣は法的には有効とされますが、日常的に使われることはなく、コレクター市場では高値で取引されています。

10万ドル紙幣の現状

印刷された42,000枚のうち、現存する10万ドル紙幣はごくわずかです。個人が合法的に所有することはできず、連邦準備制度や国立の博物館などが保管しています。ワシントンD.C.のスミソニアン博物館などでは、実物を見ることが可能です。