20世紀初頭のアメリカ合衆国では、移民の急増を背景に「アメリカ化(Americanization)」と呼ばれる社会運動が広がっていました。その中心にあったのが、国民一人ひとりの愛国心を高めようという動きです。
学校で始まった愛国者教育プログラム
当時、東部や中西部の都市には南欧・東欧諸国から多数の移民が流入し、社会統合が大きな課題となっていました。これを受けて、一部の州では学校教育の中に愛国者教育プログラムを導入します。国旗掲揚の儀式や愛国歌の斉唱、市民としての権利と義務を学ぶ公民教育などを通じて、子どもたちに「アメリカ人」としての意識を植え付ける取り組みが進められました。
また、大人の移民向けにも英語教室や市民講座が開かれ、憲法や歴史を学ばせることで、一日も早く「良きアメリカ市民」へと育てることが目指されました。
第一次世界大戦の勃発と米国の対応
1914年、ヨーロッパで第一次世界大戦が勃発すると、ウィルソン政権は当初「中立」を堅持する姿勢を示しました。しかし、ドイツによる無制限潜水艦作戦や、ドイツがメキシコに対米参戦を呼びかけたとされる「ツィンメルマン電報事件」などが相次ぎ、国内世論は一気に開戦へと傾いていきます。
そして1917年4月、アメリカ合衆国は連合国側について、第一次世界大戦への参戦を正式に決定したのです。
戦時下でさらに強まる愛国主義
参戦後、それまでの愛国教育は一段と強化されました。「100%アメリカニズム」を掲げる運動が各地で起こり、学校では戦争支援のための活動がカリキュラムに組み込まれていきます。一方で、反戦的な言動への弾圧やドイツ系住民への疑視など、過激な排外主義が生まれた側面も見逃せません。
こうして、平時の社会統合を目的とした愛国教育は、戦争という国家的危機の中で、より強力かつ広範な国民動員の手段へと変貌を遂げていったのです。