アメリカ合衆国の紙幣(ドル紙幣)は、すべて政府機関によって印刷されています。その役割を担っているのが、米国財務省傘下の「銘版印刷局」、通称BEP(Bureau of Engraving and Printing)です。この記事では、BEPの概要と、紙幣が印刷される2つの生産拠点について詳しく解説します。
米国の紙幣を印刷するのは「銘版印刷局(BEP)」
銘版印刷局は19世紀半ばに設立された長い歴史を持つ政府機関で、連邦準備券(Federal Reserve Note)をはじめとする各種ドル紙幣の印刷を専門に行っています。紙幣には高度な偽造防止技術が施されており、特殊なインク、彫刻凹版印刷、マイクロ文字や透かしなど、一般の民間企業では再現できない精巧な技術が用いられている点が大きな特徴です。
BEPの2つの生産拠点
BEPの紙幣印刷は、以下の2つの工場で行われています。
1. ワシントンD.C.工場
首都ワシントンD.C.にある施設は、BEP発祥の地となる本部工場です。ここでは主に未裁断の紙幣シートが大量に印刷されており、1日あたり数千万枚規模の紙幣が生産されています。工場内では無料の見学ツアーも実施されており、実際にドル紙幣が刷られていく様子をガラス越しに観察できることでも知られています。
2. フォートワース工場(テキサス州)
テキサス州フォートワースにある「ウエスタン・カレンシー・ファシリティ」は、1990年に操業を開始した比較的新しい工場です。災害や事故などでワシントンD.C.の生産が停止しても紙幣の供給が途絶えないよう、バックアップ拠点として設立されました。紙幣の印刷に加えて、切手や債券などの証券類の印刷も担当してきました。
紙幣づくりの豆知識
ドル紙幣に使われる用紙は、綿75%・亜麻25%という特別な配合で作られており、市販の普通紙とはまったく異なる耐久性と手触りを持っています。また、印刷された紙幣シートは検査・裁断・計数の工程を経て、各地の連邦準備銀行へ出荷され、そこから金融機関を通じて私たちの手元に届きます。
このように、アメリカの紙幣はワシントンD.C.とテキサス州フォートワースという東西2拠点体制で安定供給されており、世界で最も信頼されている通貨の一つを支えています。