「アメリカ先住民は北米で奴隷にされなかった」という認識は、歴史的事実と一致していません。実際には、アメリカ先住民は北米の各地域で奴隷化されており、その歴史はヨーロッパ人の到来当初から続いていました。
先住民が奴隷化された歴史的事実
1492年にコロンブスが新大陸に到達して以降、スペイン人たちは先住民を強制的に労働させました。エンコミエンダ制と呼ばれる搾取的な労働制度のもと、先住民は鉱山や農園で過酷な使役に従事させられ、多くの命が失われました。
イギリス植民地における先住民奴隷
イギリス領植民地でも先住民の奴隷化は広く行われていました。ニューイングランドでは、ピクォート戦争(1636〜1637年)やフィリップ王戦争(1675〜1676年)の際に捕らえられた先住民が、奴隷として売却され、多くは西インド諸島へ送られました。
特にカロライナ植民地では先住民奴隷貿易が盛んに行われ、17世紀後半から18世紀初頭にかけて、数万人規模の先住民が奴隷として輸出されたと推定されています。彼らはプランテーション労働だけでなく、家内労働や交易品としても扱われました。
なぜアフリカ人奴隷へと移行したのか
では、なぜ後に奴隷労働の中心がアフリカ人へと移っていったのでしょうか。主な要因としては以下が挙げられます。
・先住民は土地や地形に精通しており、近隣の部族からの支援も受けられるため、逃亡しやすかったこと
・ヨーロッパから持ち込まれた伝染病により先住民の人口が激減し、労働力として確保しにくくなったこと
・植民地の法制度が次第にアフリカ人を終身奴隷として位置づけるよう変化していったこと
これらの背景から、大西洋を越えて運ばれたアフリカ人奴隷がプランテーション経済の中核となっていきました。
まとめ
アメリカ先住民は北米において奴隷化を免れたわけではなく、南北アメリカの各地で深刻な搾取と抑圧を受けてきました。「先住民は奴隷にされなかった」という通説は誤りであり、正確な歴史理解のためには、先住民奴隷制の実態を知ることが重要です。