大陸横断鉄道と南北戦争の時期関係
まず前提として、「大陸横断鉄道が南北戦争中に建設された」という認識には誤りがあります。実際には、建設は1863年に始まり、完成したのは1869年です。つまり、建設期間の大部分は南北戦争(1861年〜1865年)の終結後に進められたことになります。
しかし、鉄道建設における中国人移民の雇用が始まったのは、確かに南北戦争中のことでした。ここには重要な歴史的背景があります。
深刻な労働力不足という問題
1860年代前半、セントラル・パシフィック鉄道社はカリフォルニア州サクラメントから東へ向かって線路を延伸していましたが、深刻な労働力不足に直面していました。当時のアメリカ西部では、以下のような事情がありました。
- 多くの男性が南北戦争に従軍していた
- ゴールドラッシュの影響で、人々は鉱山での一攫千金を求めていた
- 危険で過酷な鉄道工事を嫌う労働者が多かった
こうした理由から、白人労働者の確保は極めて困難であり、工事は思うように進みませんでした。
中国人移民の採用と成功
そこで同社の幹部チャールズ・クロッカーは、中国人移民の雇用を提案します。当初は「小柄な体格で重労働に耐えられるのか」という懐疑的な声もありましたが、最初に雇われた約50人の中国人労働者は、勤勉で規律正しく、非常に優秀な働きぶりを見せました。
この成功を受けて、セントラル・パシフィック社は積極的に中国人労働者を採用するようになり、最終的には同社の労働力の8割以上を中国人が占めるまでになりました。彼らはシエラネバダ山脈の岩盤爆破やトンネル掘削など、最も過酷な工程を担い、大陸横断鉄道の完成に不可欠な役割を果たしたのです。
まとめ
要するに、鉄道会社が南北戦争中に移民(特に中国人)の雇用を始めたのは、戦争などによる労働力不足を補うためでした。そしてこの決定は、単なる応急策にとどまらず、アメリカ西海岸における中国系移民の歴史を大きく変える転機となりました。