イングランドの「〜キャスター(-caster)」で終わる町とは?
イングランドには、地名の語尾が「-caster(キャスター)」で終わる町がいくつかあります。この接尾辞は、ローマ軍の要塞や城砦を意味するラテン語の「castra(カストラ)」に由来し、古英語では「ceaster」と呼ばれていました。つまり、「〜キャスター」という名前を持つ町は、かつてローマ人が要塞を築いた土地であることが多いのです。
-caster で終わる主な町
- Ancaster(アンキャスター) – リンカンシャー。ローマ街道沿いに位置する歴史ある村。
- Doncaster(ドンキャスター) – サウス・ヨークシャー。競馬場で全国的に有名な大規模な町。
- Hincaster(ヒンキャスター) – カンブリア。静かな田園地帯の小さな村。
- Lancaster(ランキャスター) – ランカシャー。中世の城と大聖堂で知られる歴史都市。
- Tadcaster(タッドキャスター) – ノース・ヨークシャー。醸造業で栄えてきた町。
-chester・-cester は「キャスター」の親戚?
興味深いことに、「-caster」「-chester」「-cester」はすべて同じ語源を持ちます。古英語の「ceaster」が、地域ごとの発音の違いによって、北部では「caster」、南部では「chester」や「cester」として定着したと考えられています。
-chester で終わる主な町
- Chester(チェスター) – チェシャー。ローマ時代の城壁が残る観光名所。
- Chichester(チチェスター) – ウェスト・サセックス
- Colchester(コルチェスター) – エセックス。英国最古の町とも言われる。
- Dorchester(ドーチェスター) – ドーセット
- Manchester(マンチェスター) – グレーター・マンチェスター
- Winchester(ウィンチェスター) – ハンプシャー。かつてのウェセックス王国の首都。
-cester で終わる主な町
- Alcester(オールスター) – ウォリックシャー
- Bicester(ビスター) – オックスフォードシャー
- Cirencester(サイレンスター) – グロスターシャー。ローマ時代の都市コリニウム。
- Gloucester(グロスター) – グロスターシャー
- Leicester(レスター) – レスターシャー
- Towcester(トウスター) – ノーサンプトンシャー。発音が「トースター」に似ていることで知られる。
- Worcester(ウースター) – ウスターシャー
-minster で終わる町との違い
一方、「-minster(ミンスター)」で終わる地名は、修道院教会(mynster)に由来しており、やや趣が異なります。ただし、こちらもラテン語起源である点は共通しています。
- Axminster(アクスミンスター) – デヴォン。絨毯の産地として有名。
- Beaminster(ベミンスター) – ドーセット
- Exminster(エクスミンスター) – デヴォン
- Ilminster(イルミンスター) – サマセット
- Leominster(レミンスター) – ヘレフォードシャー
- Westminster(ウェストミンスター) – ロンドン。国会議事堂やウェストミンスター寺院がある。
まとめ
「〜キャスター」で終わるイングランドの町としては、Doncaster、Lancaster、Tadcaster、Ancaster、Hincaster の5つが代表的です。これらの地名は、約2000年前のローマ支配の痕跡を今に伝える貴重な文化遺産と言えます。次にイギリスを訪れる際は、町の名前の背後にある歴史に思いを馳せながら散策してみてはいかがでしょうか。