イギリスの権利章典(Bill of Rights)が正式に法律として成立したのは、1689年12月16日です。イングランド、スコットランド、アイルランドの共同君主であったウィリアム3世とメアリー2世によって裁可されました。
なぜ「1688年」とされることがあるのか
権利章典をめぐる動きの出発点となったのは、1688年の名誉革命(Glorious Revolution)です。この年、ジェームズ2世が追放され、ウィリアム・オブ・オレンジ(後のウィリアム3世)とその妻メアリーがイングランドに迎え入れられました。
翌1689年、議会は「権利の宣言」を採択し、これが同年12月に議会法として成立したものが権利章典です。したがって、厳密には1689年の制定ですが、その起源となる政治的変革が1688年に起こったため、両者の年号が混同されやすいのです。
権利章典の歴史的意義
権利章典は、以下のような重要な原則を定めた画期的な文書です。
- 国王が議会の同意なく課税や常備軍の維持を行うことの禁止
- 議会における言論の自由の保障
- 定期的な議会の開催
- 過酷な刑罰や過大な保釈金の禁止
これにより、議会主権と立憲君主制の基礎が確立されました。権利章典の思想は、後のアメリカ合衆国憲法やフランス人権宣言など、世界各国の近代憲政にも大きな影響を与えています。