アメリカ合衆国憲法修正第2条が保障する「武器を保有し携帯する権利」について、建国の父たちが本当にすべてのアメリカ人に銃所持を意図していたのかどうかは、今日でも激しい議論の対象となっています。
この論争には大きく分けて二つの立場があります。一方は、修正第2条が市民による自衛と国家防衛を可能にするために制定されたと考える立場。もう一方は、この修正条項が民兵(militia)の構成員など特定の人々の権利のみを保護するものだったと考える立場です。
修正第2条の原文
修正第2条の条文は以下の通りです。
"A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed."
(規律ある民兵は自由な国家の安全にとって必要であるゆえに、人民が武器を保有し携帯する権利は侵されてはならない)
「人民(the people)」とは誰を指すのか
この条文の解釈をめぐって、まず争点となるのが「人民」という言葉です。一つの解釈では、武器を保有する権利は民兵の構成員にのみ与えられるとされます。しかし別の見解では、ここでいう「人民」は民兵の構成員に限らず、すべての市民を指すのだと主張されています。
「規律ある民兵(well regulated Militia)」の意味
さらに、「規律ある民兵」という表現の意味についても意見が分かれています。政府によって管理・統制された民兵組織を指すという解釈がある一方で、人民が自発的に組織した民兵を意味するとする解釈も存在します。前者に立てば銃規制との両立が可能になり、後者に立てば個人の武装権が強く保護されることになるため、この解釈の違いが政策論争にも直結しています。
決着しない論争の歴史
修正第2条の解釈をめぐる論争は長年にわたり続いており、明確な合意には至っていません。歴史的な文書や建国期の言説を精査しても、建国の父たち全員が武器所持の権利をどこまで保護すべきかについて一致していたわけではないことが分かっています。
2008年の合衆国最高裁判所判決(ディストリクト・オブ・コロンビア対ヘラー事件)では、個人が自衛目的で銃を所持する権利が憲法上保障されるとの判断が示されましたが、それでも規制の範囲については現在も議論が続いています。銃社会アメリカの根幹に関わるこの問題は、今後も政治・司法の場で大きなテーマであり続けるでしょう。