中世のスカンジナビア出身の海洋民族であるバイキング(ノース人)は、優れた航海技術を駆使して大西洋を越え、ヨーロッパ以外の土地へも進出しました。彼らが北米大陸に定住した主な地域として知られているのが、グリーンランドとカナダ・ニューファンドランド島のランス・オ・メドーです。
グリーンランドにおける入植
10世紀後半、赤毛のエイリーク(Erik the Red)とされる開拓者たちによって、グリーンランドに北米圏で最初の恒久的なヨーロッパ人入植地が築かれました。
このノース人の入植地は東入植地と西入植地の二つの主要な集落群からなり、牧畜や狩猟、アイスランドやノルウェーとの交易によって栄えました。グリーンランドのノース人社会は400年以上にわたって存続し、15世紀頃までその歴史が続いたと考えられています。
ランス・オ・メドー(ニューファンドランド島)
バイキングは現在のカナダ、ニューファンドランド島北部にあるランス・オ・メドー(L'Anse aux Meadows)にも足場となる拠点を築きました。この遺跡は、北米大陸において考古学的に確認された唯一のバイキング入植地として高く評価されており、1960年代に発見されました。
ランス・オ・メドーは比較的小規模な集落で、長屋形式の住居や作業小屋、鉄器製作の痕跡などが見つかっています。このことから、ここは永住地というよりも、さらに西への探検や資源の採取、交易を行うための前線基地として利用された可能性が高いとされています。
なお、ランス・オ・メドーは1978年にユネスコの世界遺産に登録され、「レイフ・エリクソンがヴィンランドに到達した」というサガ(伝承)の記述を裏付ける貴重な考古学的証拠となっています。