アメリカ合衆国は、一つの強力な中央政府がすべてを統治するのではなく、「連邦制」と呼ばれる仕組みを採用している国です。連邦政府の下に各州が大きな自治権を持ち、さらにその下に多種多様な地方自治体が存在します。そのため、アメリカの州・地方自治体の数は非常に多く、それぞれが独自の法律、税制度、行政サービスを運営しているのが特徴です。
州レベルの政府は合計56
まず、最上位にあたるのが50の州(State)です。これに加えて、以下の行政単位が州レベルの政府として数えられます。
- ワシントンD.C.(コロンビア特別区):アメリカの首都であり、連邦議会の直轄下にある特別な地域
- 5つの海外領土(準州):プエルトリコ、グアム、米領サモア、米領ヴァージン諸島、北マリアナ諸島
つまり、州レベルの政府は「50州+特別区1+準州5」の合計56となります。
地方自治体の種類と数
アメリカの地方自治体は、日本のように市区町村が一律に行政を担うのではなく、役割ごとに複数のタイプに分かれているのが大きな特徴です。
郡(カウンティ)…3,141
郡(County)は、州の下に設けられる広域的な行政区分で、住民登録や選挙管理、警察、消防などの基本的な行政サービスを担当することが多いです。カリフォルニア州やテキサス州など面積の大きい州には、数十から数百の郡が存在します。
市(シティ・ミュニシパリティ)…19,492
市(Municipality)は、住民によって法人化された自治体で、独自の市長や市議会を持ちます。ニューヨーク市やロサンゼルス市のような大都市から、人口数百人規模の小さな市まで、その規模は実にさまざまです。
タウンシップ(町村)…16,504
タウンシップ(Township/Town)は、主に中西部や東北部に多い行政単位で、市ほどの権限はないものの、地域の道路維持やゴミ収集などのサービスを提供します。市に編入されていない農村部などをカバーする役割を果たしています。
学区(スクールディストリクト)…41,149
アメリカで特に特徴的なのが、公立学校を運営する学区(School District)が独立した行政単位になっている点です。学区は郡や市とは別に、独自の教育委員会と予算を持ち、学校運営や教育政策を決定します。その数はなんと4万を超え、地方自治体の中で最も多いカテゴリーとなっています。
全体の合計数は?
以上の数字をすべて合計すると、州レベルの政府56を含めて約8万を超える行政単位が存在することになります。さらに、これら以外にも消防・水道・交通・公園など特定の目的のために設けられる「特別区(Special District)」が全国に数多く存在するため、実際の公共機関の総数はさらに膨らみます。
このように、アメリカは一つの地域に複数の自治体が重なり合って存在する「多層的な統治構造」を持っています。日本の市区町村制度とはかなり異なるため、アメリカの地方政治や税金の仕組みを理解するうえで、こうした自治体の分類と数を知っておくことは非常に有益です。