1968年に実施されたテト攻勢(テト・オフェンシブ)は、ベトナム戦争における最大級の攻撃作戦であり、南ベトナム全土に広がる100以上の都市や軍事拠点が同時に標的となりました。攻撃は北から南にかけて、大きく3つの戦術地帯(I〜III軍団管区)に分かれて展開されました。以下、各地域ごとの主要な攻撃目標を紹介します。
北部:I軍団戦術地帯
旧南北軍事境界線に近い北部では、激戦地として知られる以下の場所が攻撃を受けました。
- フエ(Hue)— 旧都として知られる文化都市で、特に長期にわたる市街戦の舞台となりました。
- ケサン戦闘基地(Khe Sanh Combat Base)— 米海兵隊が駐留する重要な前線基地でした。
- クアンチ市(Quang Tri City)— 北部の戦略的要衝となる省都です。
中部:II軍団戦術地帯
中部沿岸地域では、空軍拠点や都市部が狙われました。
- ダナン空軍基地(Da Nang Air Base)— 米軍の大規模な航空作戦拠点でした。
- クアンガイ(Quảng Ngãi)— 中部ベトナムの重要な都市です。
南部:III軍団戦術地帯
南ベトナムの政治・経済の中心部およびメコンデルタ周辺では、以下の拠点が攻撃対象となりました。
- サイゴン(Saigon)— 南ベトナムの首都であり、米大使館への襲撃は世界的に大きな衝撃を与えました。
- ビンホア空軍基地(Biên Hòa Air Base)— サイゴン近郊の航空基地です。
- タイニン(Tây Ninh)— カンボジア国境に近い戦略的な町です。
- ロンビン基地(Long Binh Post)— 米陸軍の最大級の後方支援拠点でした。
- ミトー(My Tho)— メコンデルタ地方の河港都市です。
- カントー(Can Tho)— デルタ地域の中心的都市です。
このようにテト攻勢は、国境付近の前線基地から首都サイゴン、そしてメコンデルタの都市部まで、南北に縦断する形で一斉に仕掛けられた、極めて広範囲な攻撃作戦だったのです。