ベンジャミン・バナーカー(Benjamin Banneker、1731年〜1806年)は、アメリカ建国期に活躍した自由黒人(アフリカ系アメリカ人)の科学者、天文学者、そして測量士です。
独立戦争への参加について
まず結論から述べると、バナーカーは独立戦争(1775年〜1783年)には参加していません。彼は戦争中も軍務に就くことなく、メリーランド州の家族のタバコ農園で農業を営みながら、独学で数学や天文学の研究を続けていました。
しかし、それだからといって彼の存在意義が小さいわけではありません。むしろ、戦後の新しい国づくりにおいて、彼は極めて重要な役割を果たしたのです。
バナーカーの主な功績
1. 首都ワシントンD.C.の測量への貢献
1791年、バナーカーは測量士アンドリュー・エリコットのチームに加わり、新たな連邦首都となるワシントンD.C.の境界線測量に参加しました。当時のアメリカにおいて、黒人が国家規模のプロジェクトに関わることは非常に珍しく、彼の卓越した数学的知識が高く評価されていたことを物語っています。
2. 天文年鑑(アルマナック)の出版
バナーカーは自らの天文観測に基づき、日食や月食の予報、潮汐表などを収録した年鑑を1792年から数年にわたり出版しました。これらの年鑑は広く読まれ、彼の名を全米に知らしめることとなりました。
3. トーマス・ジェファーソンへの書簡
1791年、バナーカーは自身の年鑑を国務長官トーマス・ジェファーソンに送り、黒人は白人と同等の知的能力を持つことの証拠として提示しました。さらに、奴隷制の不公正を訴える手紙を添え、ジェファーソンから返信を受け取っています。このやり取りは、奴隷制廃止運動における重要な資料として今日まで伝えられています。
まとめ
ベンジャミン・バナーカーは独立戦争そのものには従軍しませんでしたが、天文学・測量の分野で並外れた才能を発揮し、首都ワシントンD.C.の建設や科学の発展、さらには奴隷制廃止の議論にも貢献した、アメリカ史における傑出した人物です。