1863年の奴隷解放宣言は、どの州の奴隷を対象としたのか?
1863年1月1日、エイブラハム・リンカーン大統領が発した「奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)」は、南北戦争中に出された大統領令です。この宣言は、当時なお反乱を続けていた南部連合(アメリカ連合国)に属する10州——サウスカロライナ、ミシシッピ、フロリダ、アラバマ、ジョージア、ルイジアナ、テキサス、バージニア、アーカンソー、ノースカロライナ——に暮らすすべての奴隷を「法的に自由な存在」と定めました。
実際には即座に解放されたわけではない
ここで重要なのは、この宣言によって現実の奴隷が直ちに解放されたわけではないという点です。宣言の適用範囲はあくまで「北軍の支配が及んでいない反乱地域」に限定されており、そこでは連邦政府の権限が実質的に機能していなかったためです。つまり奴隷解放宣言は、紙の上での法的措置にとどまり、実際の解放は北軍が南部各地を制圧していく過程で段階的に実現していきました。
境界州の奴隷は対象外
さらに、ケンタッキー、ミズーリ、メリーランド、デラウェアといった、奴隷制を維持しながら連邦側に留まっていた「境界州」の奴隷は、この宣言の対象から除外されました。これは、これらの州が南部連合に加わるのを防ぐための政治的な配慮によるものです。
奴隷解放宣言は、南北戦争を「奴隷制の存続をめぐる闘い」として明確化し、戦争の性格を根本から変える転換点となりました。その後、1865年に憲法修正第13条が批准され、アメリカ全土で奴隷制が正式に廃止されることになります。