アメリカ独立戦争における「ロイヤリスト」の定義
アメリカ独立戦争(1775年〜1783年)の時代において、「ロイヤリスト(Loyalist)」とは、独立運動が始まった時点でイギリス政府への忠誠を保ち続けた北米植民地人のことです。彼らは独立を求める「愛国者(Patriot)」とは対照的な存在であり、当時の白人植民地人口のおよそ1〜2割を占めていたと歴史学者には推定されています。
また、ロイヤリストは「トーリー(Tories)」という別名でも知られていました。この呼称はイギリス本国の保守勢力「トーリー党」に由来し、独立派の人々からやや皮肉や軽蔑を込めて使われることもありました。
なぜ彼らはイギリスへの忠誠を保ち続けたのか
ロイヤリストたちが独立に反対した理由は一様ではなく、人それぞれ異なる動機を持っていました。主なものとしては、次の3つが挙げられます。
- 未知への不安: イギリスからの独立という前例のない道に対する恐れ
- 大英帝国への忠誠心: 帝国の一員であることへの誇りや帰属意識
- 経済的な自己利益: イギリスとの貿易関係や既得権益を守りたいという思惑
特に目立っていたのは富裕層と政治エリート
数多くいたロイヤリストの中でも、特に発言力が高く、社会的に目立ちやすい存在だったのは、植民地社会の富裕層や政治エリートたちでした。具体的には、以下のような人々が含まれます。
- 判事(裁判官)
- 国王から任命された総督や評議会メンバー
- イングランド国教会(聖公会)の信者
- 独立がもたらす経済的混乱を恐れた富裕な商人たち
彼らにとって、イギリスとの繋がりは自らの地位や財産を支える基盤そのものであり、独立によってそれを失うことは計り知れないリスクだったのです。
戦後のロイヤリストの行方
独立戦争が終結すると、多くのロイヤリストは新しい国家アメリカ合衆国にとどまり続けることが困難になり、カナダ(ノバスコシアやオンタリオ地方など)、イギリス本国、あるいはカリブ海地域などのイギリス領へと移住しました。この大規模な人口移動は、その後のカナダ社会の形成にも大きな影響を与えたとされています。