蛇が描かれたアメリカ国旗――そんな旗を思い浮かべたことがある方も多いかもしれません。しかし結論から言うと、蛇がデザインされた公式なアメリカ国旗(星条旗)は存在しません。米国政府によって正式に制定・採用された国旗に、蛇のモチーフが使われたことは一度もありません。
とはいえ、あなたが思い浮かべている旗にはおそらく心当たりがあります。それは一般に「ガズデン旗(Gadsden Flag)」として知られる旗です。
ガズデン旗とはどんな旗?
ガズデン旗は、鮮やかな黄色い地に、身を丸めて威嚇するガラガラヘビ(ティンバー・ラトルスネーク)が描かれ、その下に「DONT TREAD ON ME(私を踏みつけるな)」という言葉が配されたデザインが特徴です。公式な国旗ではありませんが、アメリカの歴史において非常に有名な旗の一つです。
いつ、誰が作ったのか
ガズデン旗は1775年、アメリカ独立戦争のさなかに考案されました。名前の由来となったのは、サウスカロライナ出身の政治家・軍人であるクリストファー・ガズデン(Christopher Gadsden)です。彼は当時、独立を求める植民地側の指導者の一人であり、この旗は大陸海兵隊の初期のモットー旗として使用されたと伝えられています。
なぜヘビなのか
ヘビのモチーフ自体は、旗の誕生よりさらに古く、1751年にベンジャミン・フランクリンが風刺画の中で取り上げたのが始まりとされます。ガラガラヘビは、攻撃されない限り先制攻撃を行わない一方、ひとたび挑発されれば容赦なく反撃するという性質を持つことから、「平和を望むが、自由は譲らない」という当時のアメリカ植民地の人々の精神を象徴するものとして選ばれました。
現代におけるガズデン旗
今日のガズデン旗は公式な国旗ではありませんが、愛国心や個人の自由、反権威主義の象徴として、さまざまな場面で掲げられています。政治的な文脈で使われることも多く、時代とともにその受け取られ方は変化してきました。
まとめ
蛇の描かれた公式なアメリカ国旗は存在せず、そのイメージの多くは1775年にクリストファー・ガズデンが考案した「ガズデン旗」によるものです。独立戦争の時代に生まれたこの旗は、250年以上経った今もなお、アメリカ社会で強い存在感を放ち続けています。