北米の歴史

南北戦争開戦時、北軍と南軍には正式な海軍が存在したのか?

南北戦争開戦時の両陣営の海軍事情

1861年にアメリカ南北戦争が勃発した当時、北軍(連邦側)と南軍(南部連合側)の海軍力には大きな差がありました。結論から言えば、開戦時点で正式な海軍を既に保有していたのは北軍のみであり、南軍は独立宣言後に急ごしらえで海軍を組織しなければなりませんでした。

北軍:合衆国海軍(USN)

北軍は、建国以来の歴史と伝統を持つ「アメリカ合衆国海軍(United States Navy、略称USN)」をそのまま引き継ぎました。合衆国海軍は正規の政府機関として整備されており、軍艦・基地・士官養成制度・造船所といったインフラを一貫して保持していました。この既存の戦力こそが、後の海上封鎖作戦(アナコンダ計画)やミシシッピ川流域の制圧を可能にする大きな強みとなりました。

南軍:南部連合海軍(CSN)

一方、南軍の「南部連合海軍(Confederate States Navy、略称CSN)」は、1861年の南部諸州の脱退に伴って新たに創設された組織です。当初、南軍には自前の軍艦建造能力がほとんどなく、主力となったのは民間所有の商船を武装・改造した蒸気船でした。また、北部の船舶を攻撃する私掠船(プライベーター)を公認し、限られた戦力で補給線への妨害を試みました。

戦争が進むにつれ、南軍は装甲艦(アイアンクラッド)の建造にも着手します。有名な「CSSヴァージニア」は、鹵獲したフリゲート艦「USSメリマック」の船体を再利用して建造されたもので、ハンプトン・ローズ海戦で世界初の装甲艦同士の戦いを演じました。しかし、工業力・資源・人的資源のすべてで劣る南軍は、最終的に北軍の圧倒的な物量に押し切られることになります。

まとめ

南北戦争開戦時、正式な海軍を持っていたのは北軍だけでした。北軍は歴史ある合衆国海軍(USN)を維持し、南軍は新設の南部連合海軍(CSN)として商船の改造艦や私掠船で対応せざるを得ませんでした。この海軍力の格差は、戦争全体の帰趨を左右する重要な要因の一つとなったのです。