オセアニアの歴史

港の船員は錨上げを「重労働」と愚痴る?実は機械装置がほとんどを担う現代の錨作業

錨上げは本当に重労働なのか?

港に停泊する船員が「錨を上げるのは重労働だ」と愚痴をこぼす姿を想像したことはありませんか?確かに巨大な船の錨は数トンにも及びますが、実は現代の船舶では、錨が手動で上げられることはほとんどありません。

主役はウインチやキャプスタンなどの機械装置

現在の商船や大型船舶では、ウインチ(winch)やキャプスタン(capstan)、そしてこれらを組み合わせた「アンカーウィンドラス(錨巻き揚げ機)」と呼ばれる機械装置を使って錨を操作します。甲板に設置された電動式または油圧式のウィンドラスが、重い錨鎖(チェーン)をギア付きのスプロケットで力強く巻き取る仕組みです。

船員の実際の役割とは

錨を揚げる際、船員が担当するのは機械の操作や監視です。操縦室やウィンドラス付近からチェーンの巻き取り速度や錨の位置を確認し、異常がないかを見守ります。また、泥や砂が付着した錨は、チェーンワッシャー(洗浄装置)で海水を吹き付けながら洗い流し、きれいな状態で錨鎖庫へ収納されます。

帆船時代はまさに人力の世界

かつての帆船の時代には、話は別でした。当時のキャプスタンは、数十人もの乗組員が棒を差し込んで押し回し、錨を少しずつ引き上げていました。悪天候下での錨上げは命に関わる危険な作業でもあり、「錨上げ=過酷な労働」というイメージが今も残っているのは、こうした歴史が背景にあります。

まとめ

つまり、「錨上げは重労働だ」という船員の愚痴は、現代においては半ば冗談のようなもの。技術の進歩により、船員の役割は力仕事から監視・操作・安全確認へと移り、錨作業は格段に効率的かつ安全になったのです。