アメリカの医療制度は世界の中でどんな立ち位置?
アメリカは世界で最も費用のかかる医療制度を持つ国の一つですが、その質が高い順位にあるとは言えません。コモンウェルス基金(Commonwealth Fund)が2017年に行った調査によると、アメリカは先進国31か国中、医療制度の総合パフォーマンスで29位にランクされました。この調査では、医療へのアクセス、ケアの質、効率性、公平性といった多様な指標が評価対象となっています。
アメリカには世界最高水準の病院や医療技術が存在する一方で、予防可能な死亡の発生率が高く、保険未加入者や十分な保障を受けられていない「過少保険」の人々も多数います。医療費の高さが必要なケアを受ける機会を妨げ、結果として健康状態の悪化につながっているのです。
具体的な比較ポイント
1. 費用:世界一の医療支出
アメリカは他のどの国よりも多くの費用を医療に投じています。2018年の医療支出は3兆6,000億ドルに達し、GDPの17.9%を占めました。これは他の先進国の平均支出の2倍以上という驚異的な数字です。
2. 医療へのアクセス:無保険・過少保険者が多数
2018年時点で、アメリカには約2,790万人の無保険者と約4,400万人の過少保険者がいました。過少保険者とは、健康保険には加入しているものの、免責金額や自己負担額が高く、必要な医療を受けにくい人々を指します。
3. ケアの質:最先端技術と課題が共存
アメリカには優れた病院や医療技術がありますが、予防可能な死亡や誤診の件数も多くなっています。前述の通り、2018年の総合パフォーマンス評価では31か国中29位という結果でした。
4. 効率性:事務コストが肥大化
アメリカの医療制度は効率面でも課題を抱えています。請求業務や書類処理などの管理コストが膨大であることに加え、医療ミスの発生率も高いのが実情です。
5. 公平性:所得格差が健康格差に直結
アメリカの医療制度は公平性にも乏しいのが現状です。高所得者層は低所得者層に比べて医療へのアクセスが良好で、健康成果も優れています。
改革が求められるアメリカの医療制度
アメリカの医療制度には改革が不可欠です。医療費の削減、アクセスの拡大、ケアの質の向上、制度の公平化など、改善のための道筋はいくつも存在します。こうした変革を実現することで、国民全体の健康水準を高めながら、医療費負担の軽減も同時に実現できるでしょう。