16世紀初頭、アステカ帝国の征服で知られるスペイン人征服者エルナン・コルテス。彼の果敢なメキシコ遠征を支えた資金は、一体どこから調達されたのでしょうか。
最初の遠征は自己資金と私的な借入金で賄われた
実は、コルテスの最初の遠征はスペイン王室による全面的な出資ではありませんでした。当初、遠征費用の多くはコルテス自身の財産によって賄われ、足りない分は裕福な個人投資家からの借入金や出資によって調達されていました。当時の探検遠征は成功すれば莫大な富をもたらす一方、失敗すれば全額を失う危険な投資でもありました。そのため、金銭的に余力のある貴族や商人たちが、見返りとして将来の獲得物の一部を受け取る契約を結ぶ形で資金を提供するのが一般的だったのです。
キューバ総督との対立と王室の介入
コルテスの遠征は、もともとキューバ総督ディエゴ・デ・ベラスケスの委任によって計画されたものでした。しかし、出航直前にベラスケスとの間で深刻な意見の対立が生じ、委任状を取り消されそうになったコルテスは、命令に反して1519年に船団を出航させてしまいます。
この無断出航にもかかわらず、コルテスは本土メキシコに上陸した時点で自ら「総督」および「最高司令官(キャプテン・ジェネラル)」の称号を名乗りました。その後、事態を重く見たスペイン王室は調査(レシデンシア)を実施し、1522年には正式にコルテスをヌエバ・エスパーニャの総督兼最高司令官に任命します。これにより、彼の征服事業は法的に承認され、名実ともに正当化されることとなったのです。
王室と征服者の利害関係
スペイン王室にとって、コルテスのような征服者たちは自らリスクを負って新大陸を開拓してくれる存在であり、成功後には獲得した富の一部(王税)が王室に納められる仕組みになっていました。つまり、遠征の資金調達は民間主導で行われつつも、その成果は最終的にスペイン帝国の拡大へと結びついていったのです。