オセアニアの歴史

金の獲得・貿易拡大・植民地経営で国を富強にする経済理論とは?「重商主義」をわかりやすく解説

「金を見つけて貿易を拡大し、植民地を設立することで国家が強くなる」という考え方を支えた経済理論は、重商主義(メルカンティリズム)と呼ばれます。

重商主義(メルカンティリズム)とは

重商主義は、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパ各国で主流となった経済思想です。国家の力は保有する貴金属、特に金や銀の量によって測られると考えられていました。そのため、各国は以下のような政策を積極的に推し進めました。

  • 貴金属の獲得: 金銀鉱山の開発や略奪を通じて、国内にできるだけ多くの金を蓄えること。
  • 貿易の拡大: 輸出を増やして外国から金を受け取り、輸入は抑えることで貿易黒字(出超)を目指すこと。
  • 植民地の設立: 原料資源の供給地であり、本国製品の独占的な販売市場となる植民地を獲得すること。

代表的な政策と人物

イギリスではトマス・マンが『外国貿易におけるイングランドの財宝』の中で、貿易収支の黒字こそが国富の源泉だと説きました。また、フランスではルイ14世の財務総監ジャン=バティスト・コルベールが、保護関税や官営工場の設立など強力な重商主義政策(コルベルティズム)を実施したことで知られています。

重商主義の歴史的意義と限界

重商主義は、大航海時代以降のヨーロッパ諸国の海外進出や産業育成を後押しし、近代国家の形成に大きく寄与しました。一方で、貿易を「ゼロサムゲーム」とみなす発想は自由な経済活動を制約する面もありました。

18世紀後半、アダム・スミスが『国富論』において「国の富は金銀ではなく労働と生産物である」と主張し、自由貿易を基調とする古典派経済学へと移行していきました。それでも、貿易黒字の重要性や産業保護といった重商主義の考え方は、現代の経済政策にも影を残しています。