ニュージーランドの国歌「神よニュージーランドを守り給え(God Defend New Zealand)」には、英語版とマオリ語版という2つのバージョンが存在します。それぞれの歌詞が誰の手によって生まれたのか、その歴史をわかりやすく解説します。
英語版「God Defend New Zealand」
作詞:トーマス・ブラッケン(Thomas Bracken、1843年〜1898年)
英語版の歌詞を書いたのは、アイルランド生まれでニュージーランドへ移住した詩人・ジャーナリストのトーマス・ブラッケンです。1870年代に執筆されたこの詩は、1876年にダニーデンで行われた国歌コンクールで高く評価され、瞬く間に国民の心をつかみました。
作曲:ジョン・ジョセフ・ウッズ(John Joseph Woods、1849年〜1934年)
曲を手がけたのは、教師であり音楽家でもあったジョン・ジョセフ・ウッズです。彼は同じコンクールの作曲部門で優勝し、ブラッケンの詩に荘厳で美しい旋律を与えました。
マオリ語版「Aotearoa(アオテアロア)」
マオリ語版の歌詞は、裁判官であったトーマス・ヘンリー・スミス(Thomas Henry Smith)によって翻訳されました。「アオテアロア」というタイトルは、マオリ語でニュージーランドを意味する言葉にも通じる、深い愛着が込められた名称です。当時の首相リチャード・セドン(Richard Seddon)の支援のもと、マオリ語版も広く普及し、正式なものとして認められていきました。
国歌としての歩み
「God Defend New Zealand」は1940年に政府によって著作権が買い上げられ、国民的な賛歌としての地位を確立しました。そして1977年には、「国王陛下万歳(God Save the King)」と並ぶニュージーランドの正式な国歌の一つとなりました。現在では公式の場において、まずマオリ語版が歌われ、続いて英語版が歌われるのが慣例となっており、2つの言語が調和する独特の国歌として世界的にも注目されています。