イングランド侵攻とエリザベス1世の廃位
スペイン無敵艦隊は、1588年にスペイン王フェリペ2世が「イングランドへの侵攻」と「女王エリザベス1世の廃位」を目的として派遣した大規模な艦隊です。当時の両国は宗教対立やネーデルラント(オランダ)独立運動への介入などを巡って対立を深めており、フェリペ2世はカトリック勢力によるイングランド奪回を画策していました。
無敵艦隊とイングランド艦隊の戦力比較
無敵艦隊は強力なガレオン船65隻を含む約130隻の船団で構成され、総勢約24,000人の将兵を乗せていました。
これに対し、チャールズ・ハワード卿と名将フランシス・ドレーク卿が率いるイングランド艦隊は約200隻。船体こそ小型でしたが、速力と機動性に優れ、長射程の砲撃を活かした戦術を得意としたことが大きな強みでした。
遠征の経過とグラブリネスの海戦
無敵艦隊は1588年5月29日にリスボン港を出港し、7月19日に英仏海峡へ到達しました。イングランド艦隊は一連の小規模な遭遇戦で執拗に攻撃を仕掛け、7月29日のグラブリネスの海戦においてスペイン艦隊に決定的な打撃を与えます。火船攻撃などによって陣形を崩された無敵艦隊は、ついに撤退を余儀なくされました。
悲劇的な帰還と歴史的意義
帰還の途についた無敵艦隊は、北海を迂回してアイルランド周辺を航行中に激しい嵐に見舞われ、多くの船がアイルランド沿岸で難破しました。出航時約130隻のうち無事に帰還できたのは半数ほどとされ、この惨敗はスペインの海上覇権に翳りを差すとともに、ヨーロッパの勢力図を塗り替える歴史の転換点となりました。