『ペルー経済史大要』第1巻とは
本書は、ペルーの経済発展を多角的に描く大規模プロジェクト「ペルー経済史」シリーズの第1巻にあたる。執筆陣には、ルイス・ギジェルモ・ルンブレラス、ペーター・カウリケ、フリアン・I・サンティジャナ、ワルデマール・エスピノサ・ソリアーノといった、アンデス考古学と歴史学を代表する研究者たちが名を連ねている。
編集を担当したのは経済史家カルロス・コントレラス。刊行は2008年で、ペルー中央準備銀行(BCRP)とペルー研究所(IEP)が共同で出版した権威ある学術書である。
テーマと対象範囲
第1巻の中心テーマは先スペイン期(プレコロンビア期)の経済である。扱われる主なキーワードは以下の通りだ。
- 経済史(ヒストリア・エコノミカ)
- アンデス社会
- 先スペイン時代
- プレコロンビア時代
- インカ帝国とタワンティンスーユ
内容の構成
「VOL 1 ECONOMÍA PREHISPÁNICA(第1巻 先スペイン期経済)」と題された本巻では、序章となる「先スペイン期経済」の総論をラファエル・モレノが担当している。
各章では、狩猟採集民の生活から始まり、農耕の成立、チャビンやパラカスに代表される形成期文化、モチェ、ワリ、チムーといった地域国家の生産と交換システムを経て、最終的にインカ帝国タワンティンスーユにおける高度な経済組織へと至る流れが解説される。
本巻を読む意義
アンデス文明は、貨幣や市場経済に頼らず、ミタ(賦役労働)やアヤニ(相互扶助)、再分配の仕組みによって巨大な帝国を支えた点で世界史的にも特異である。本書は、そうした独自の経済原理がどのように形成され、機能していたのかを考古学的・歴史的資料に基づいて明らかにする。
ペルー経済の歴史的理解を深めたい専門家はもちろん、アンデス文明に関心を持つ一般読者にとっても、信頼性の高い入門書として広く推薦できる一冊である。