イギリス領アメリカの中南部植民地は、地域ごとに異なる産業や交易に特化した、実に多様な経済構造を持っていました。ここでは、これらの植民地で人々がどのような方法で生計を立てていたのか、その主な姿をご紹介します。
中部植民地(Middle Colonies)の生業
1. 農業
中部植民地は肥沃な土は肥沃な土壌に恵まれ、農耕に理想的な環境でした。小麦、トウモロコシ、果物、野菜などが広く栽培され、農家たちは余剰作物を大都市の市場で販売したり、ヨーロッパへ輸出したりして収入を得ていました。
2. 畜産と酪農
多くの農家は牛、豚、羊などの家畜も飼育していました。酪農は中部植民地の重要な産業の一つであり、バター、チーズ、牛乳などが生産され、地元での消費だけでなく輸出にも向けられました。
3. 製粉業
中部植民地には数多くの川や渓流が流れ、製粉所の動力として活用されました。製粉所は小麦などの穀物を小麦粉に加工し、パン職人に販売したり、海外へ輸出したりしていました。
4. 鉄の生産
中部植民地には豊富な鉄鉱石の埋蔵量がありました。溶鉱炉や鍛冶場では鋳物、道具、その他の鉄製品が生産され、地元での需要と輸出の両方を支える産業となりました。
5. 海運と貿易
ニューヨーク市やフィラデルフィアといった主要港を抱える中部植民地では、商人たちがヨーロッパや西インド諸島から商品を輸入する一方、農産物、木材、鉄製品を輸出して栄えていました。
6. 木材と林業
中部植民地には広大な森林が広がり、建築資材、家具製作、造船に必要な木材の重要な供給源となっていました。
南部植民地(Southern Colonies)の生業
1. プランテーション農業
南部植民地はプランテーション(大農園)を基盤とする経済でした。広大な土地を所有する大農園は奴隷労働に大きく依存しており、タバコ、米、藍(インディゴ)が主要な作物として栽培されていました。
2. 換金作物
主要作物に加えて、南部の入植者たちは綿花や砂糖などの換金作物も栽培していました。これらの作物はヨーロッパで高い需要があり、通貨の代わりとして取引されることもありました。
3. 畜産と牧牛
南部植民地には牛の飼育に適した広大な放牧地がありました。カウボーイたちは牛を集めて管理し、肉、皮革、その他の畜産物として販売していました。
4. 奴隷貿易
南部植民地は大西洋横断奴隷貿易に深く関与していました。多くの商人や農園主が、プランテーションやその他の産業で働かせるために、アフリカから奴隷とされた人々を輸入していました。この歴史は、後のアメリカ社会に深刻な影響を残すことになりました。
5. 海軍必需品の生産
南部植民地では、タール、ピッチ(樹脂)、テレピン油などの「海軍必需品」と呼ばれる物資が生産されていました。これらは造船や船舶の保守など、海事活動に不可欠なものでした。
6. 職人と工匠
職人や工匠たちも南部の経済を支える存在でした。彼らは家具、陶器、織物、金属細工などの手作り品を生産し、地域の生活を支えていました。
まとめ
以上は、中部・南部植民地で人々が生計を立てていた方法のほんの一例です。これらの地域の経済は動的で多様性に富んでおり、それぞれの産業や交易が住民一人ひとりの暮らしを形作っていました。地域の自然条件や歴史的背景が生んだこの経済の違いは、後のアメリカ合衆国の南北間の構造的な差異にもつながっていきました。