19世紀末から20世紀半ばにかけて、数百万もの移民が海を越えてアメリカ合衆国へとやってきました。彼らが最初に足を踏み入れた土地となる「入港地」は、移民の出身地域によって大きく異なっていました。ここでは、アメリカ移民史における代表的な入港地と、それぞれの特徴をご紹介します。
エリス島(ニューヨーク港)
ニューヨーク港に位置するエリス島は、「希望の島」とも呼ばれ、アメリカ移民史において最も有名な入港地です。
- 主な出身地域: ヨーロッパ、特に東欧・南欧諸国(イタリア、ポーランド、ロシアなど)
- 最盛期: 1892年〜1954年
この時期のヨーロッパからの移民の多くは、貧困や迫害、政治的混乱から逃れるために新大陸を目指しました。エリス島では健康診断や書類審査が行われ、約1億2000万人の現代アメリカ人が先祖をこの島にたどれると言われています。
エンジェル島(サンフランシスコ湾)
西海岸の玄関口として機能したのが、サンフランシスコ湾に浮かぶエンジェル島です。
- 主な出身地域: アジア、特に中国、日本、フィリピン
- 最盛期: 1910年〜1940年
エンジェル島は「西洋のエリス島」とも称されますが、アジア系移民に対する審査は極めて厳しく、長期間の収容や強制送還を経験した人も少なくありませんでした。排日移民法(1924年)など、当時の移民制限政策を今に伝える重要な歴史遺産となっています。
その他の主な入港地
エリス島とエンジェル島以外にも、アメリカ各地には多くの入港地が存在し、世界中から移民を受け入れていました。
- ボストン(マサチューセッツ州)
- フィラデルフィア(ペンシルベニア州)
- ボルチモア(メリーランド州)
- ニューオーリンズ(ルイジアナ州)
- ガルベストン(テキサス州)
これらの港に到着した移民の出身地は多岐にわたり、ヨーロッパやアジアだけでなく、中南米(ラテンアメリカ)からの移住者も多く含まれていました。特にニューオーリンズはメキシコ湾経由の交易拠点として、ガルベストンは南部への移民の入り口として栄えました。
まとめ
アメリカへの移民の到着地は、出身地域によって明確に分かれていました。東海岸のエリス島にはヨーロッパからの移民が、西海岸のエンジェル島にはアジアからの移民が集まり、その他の港湾都市もそれぞれの役割を担ってきました。これらの入港地の歴史は、多民族国家アメリカの成り立ちを知るうえで欠かせないものです。