アメリカを代表する愛国歌の一つである「共和国の戦いの賛歌(Battle Hymn of the Republic)」。この名曲が誕生したのは、1861年11月、アメリカが南北戦争の渦中にあった頃のことです。
誕生のきっかけは北軍の行進
詩人であり作家、奴隷制廃止運動家でもあったジュリア・ウォード・ハウ(Julia Ward Howe)は、首都ワシントンD.C.のユニオン・スクエア付近で、北軍(ユニオン軍)の兵士たちが行進する姿を目撃しました。整然と進む兵士たちの姿と、彼らが口ずさむ戦争の歌に触れたことが、彼女に新たな歌詞を書く強いインスピレーションを与えたのです。
当時のアメリカ社会との関わり
ハウは夫のサミュエル・グリッドレー・ハウとともに奴隷制廃止運動(アボリショニスト)に深く関わっており、南北戦争を「正義と自由のための聖なる闘い」と捉えていました。こうした信念が、歌詞全体に神の正義と解放のテーマを貫かせることにつながりました。
発表とその後の影響
完成した歌詞は1862年2月、文芸誌『アトランティック・マンスリー』に掲載されました。当時の掲載料はわずか5ドルだったと伝えられています。しかし、この歌は瞬く間に北軍の士気を高める愛国歌として全米に広まり、やがてアメリカの歴史を象徴する国民的な歌となりました。
現在でも大統領の葬儀や国家行事などで歌われることが多く、リンカーンやケネディなど歴代大統領ゆかりの場面で演奏されてきた由緒ある一曲です。